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  • 染めと漉きの関係。

    みなさんこんにちは。

     

    日々革漉きのご依頼頂きありがとうございます。

    写真は裁断前の革で、ウチで染めた革です。

    それを漉く場合は、日々加工していて分かった革を漉くので

    慣れた加工です。

     

    写真に残さなかったのが後悔なんですが、

    先日大変美しい革の革漉きのご依頼がありました。

     

    染料のアリニン仕上げの革です。

    大変美しい透明感が染料の色を引き立てており、みるからに高そうです。

    革を扱う手も、美しい人を扱う心境になってしまう。

     

    何度か同じ仕上げの革に取り組みましたが、

    漉く時、持った時の印象として、アニリン仕上げの革は

    非常にパキッとしていて塗膜の滑りとしっかり感が、はっきり伝わってきます。

    美しい。

    まるでガラスコーティングみたいな・・・。

     

    が、革は硬いです。少し、滑ります。

    刃が革に入っていく音を聞くと、元はヌメ革なのに

    ヌメを漉くのとは違うキュイーンいう、ちょっと高い音。

     

    ヌメはもっと落ち着いたグウィーンって感じの音、のハズですが。

     

    何とかうまくいきました。

    革の張りコシってやつは、鞣しはもちろん

    染め方でも大きく変わりますね。

    色々なバリエーションの革を預かると、一枚一枚同じ厚さ指定でも漉き機の調整は微妙に変化します。

     

    当社の丘染めは顔料で染めたらクリヤーでキズや摩耗対策を施し、アイロンでパキッとした

    光沢を加えます。染料に比べ生地の質感はダイレクトには

    出なくなります。

    でも、生地によってはシワや血筋は残りますね。

    色は銀面に乗っているだけなんで、

    漉きやすいし、漉いたり、切ったりすると床面が顔を出します。

    イメージとしては・・・、

     

    昭和感、素朴感というか。

     

    革のリッチ感はどんどん進化していきますね!

    が、私としては丘染めの革の若干の野暮ったさや懐かしさが、

    妙に新鮮であったりします。

    いや、昔から私は見てきたはずの革なんですけどね・・・。工場で。

    1970~80年代のランドセル、学生鞄のあの革。

     

    ハードに使い倒す革。

    意外な丈夫さ。

    気楽に隣にいる感じの革。

    別にチープじゃないけど、高すぎない安心感。

     

    ヌメ革の無為自然さ、のハードルを低くすると、

    昔の学生鞄の革に行き着きますね。

     

    革を眺めて思いました。

    最近の革も、もうちょっとラフでいいんじゃないかなーって。

  • 研磨に革。

    こんにちは。美味しそうなパンケーキがたくさんですね!

     

    なんてすいません、のっけから。

    これ、もちろん革ですよ。

     

    革の使用用途は色々あります。

     

    バフ(研磨用の素材)にも革は使用されています。写真はそれです。

    写真みたいな丸い素材(革以外には、布とかもありますよ)を高速回転する

    機器に装着して、磨きたい素材に押し当てて使用します。

     

    すいません。正直、私研磨には詳しくないので、革が素材を研磨する際に

    どんな風に良い利点があるのかまだ詳しい知識がありません。

    ごめんなさい。勉強しておきます。

     

    ただ、上のような革を一定の厚さに加工したり、裁断したりという

    ご依頼をお客様から受けます。5mm以上の厚みある革って少ないし、

    加工は正直手では難しいです。

     

    本日は、あの金属ピカピカ研磨で有名な新潟県燕市の方からご連絡を

    頂きました。

    WEBサイトを立ち上げてよかった、と感じる瞬間です。

    遠方の方からお声が掛かるなんて、本当に有り難いことです!

     

    まだまだ知らないことが多い自分ですが、革が世の中の色々な人から

    色々な形で必要とされているのを知るにつけ、革の奥深さを再認識します。

    皆様のリクエストに挑戦させて頂くことで、私もたくさん勉強になります。

     

    床面、コパ面の独特のザラつき、革のしなやかさと張りやコシ。

    厚くてハードな革は、切断面のバリを除去するのに適しているのだと思います。

    逆に、当社では扱ってはいませんが、セーム革などはもっと繊細な素材の

    汚れを除去するのに使われていますよね。

     

    時々、バリ取りに利用できる床革をお客様に提供したりもします。

     

    床革が必要な時はもちろんですが、

    6mmなど厚い革の革漉きならおまかせ下さいね。

    もちろん裁断も。

     

    ただ・・・、いきなり量産のための金型作成をお客様に提案するのは心苦しいので、

    サンプル加工できる環境をさっさと整えます・・・。

     

    今日はそんな課題がより明確になりました。

    お問い合わせ頂いたお客様に感謝です。

    ありがとうございます!!

  • 姫路レザーについて。

    こんにちは。

    しばらくぶりの更新になってしまいました・・・。

     

    今日は、当社が主に扱うヌメ革について。

    当社は、栃木レザーと姫路(で鞣された)レザーを主に扱っています。

     

    (で鞣された)、としました。と、いうのは・・・。

     

    ご存じの方も多いと思いますが、「栃木レザー」は会社名です。

    つまりこの名前がうたわれている革は、タンナーの栃木レザーさんが、鞣して製造した革です。

     

    では、「姫路レザー」って?

    これは、兵庫県の姫路地方で鞣し、製造された革、という意味です。

    同名の会社様もありますが、こちらの会社様が製造した革だけ、という意味ではありません。

    言ってみれば、兵庫県姫路地方特有の鞣し技法で製造された革、ということです。

     

    当社も姫路地方の複数のタンナー様から革を仕入れています。

    同じ姫路レザーでもタンナー様によって、鞣し方はやはり違いますので

    ご注文の革がどの様なものかによって、仕入れを行うタンナー様も違います。

     

    じゃあ、主な国内ヌメ革、2つの違いは?

    分かりやすく、ざっくり、革を日々触る私の主観を書きます。

     

    栃木=男性的、ワイルド

    姫路=女性的、繊細

     

    こんな感じです。

     

    この違いは、鞣し方から生まれていまます。

     

    栃木レザーは、ピット漕というタンニンを浸すためのプールみたいなところに皮を

    浸けてゆっくりと長時間、数か月かけて鞣しを行います。

    時間はかかりますが、革生地にかかる負荷は少ないため、

    革は固くしまっていて、革ならではの風合いがしっかり残ります。生地は多少ムラやキズがありますが、

    とてもワイルドで、ザ・レザー!という感じでしょうか。

     

    姫路レザーは、一般的には「白鞣し」という呼ばれ方をしています。

    皮を脱毛したら、油と塩をもみこんで天日乾しにしたります。

    またタイコという巨大なドラム洗濯機みたいなところに皮を入れて

    ドラムを回して鞣していきます。この時クロム(天然の害のないクロムです)も使います。

    比較的短時間で鞣すことができ、染色しやすい白っぽい仕上がりになります。

    また表面は独特の滑らかさが感じられます。

    クロム、タンニン両方のコンビ鞣しを行いますので、両方の良いところどりというか・・・。

    栃木レザーほど固くはないですが、しっかりとしたコシもちゃんとあります。

    が、固すぎず、ソフト感も感じられます。

     

    タンニン鞣しの栃木レザーヌメ革にはかなりの張りやコシがあります。しっかり感が違います。

    しかし、クロム鞣し/コンビ鞣しが良くない訳ではありません。クロムは薬品の効果で繊維が

    しまっていてしっかりしている割にはソフトに仕上がり整形もしやすいのです。

    世の中の革製品の多くがクロム鞣しの革になります。

     

    私の個人的見解ですが、姫路レザーはクラフトに適しています。

    革の風合いはちゃんと残っています。

    美しい白なので、好きな色にしやすいです。

    経年変化の度合いは栃木レザーの方が強く感じられますが、

    クロム鞣しのいいところを取っているので色を付けやすく、

    お好きな色を加えるのが比較的容易です。

    かといって、革の表情はしっかり残っていますので、革らしさも感じられます。

    そして固すぎないので、革を断つのも、漉くのも、整形するのも、

    あまり力が要りません。機械に頼らない手作業でも加工はしやすいかと。

     

    男性用のハードなベルトなら栃木。

    女性用の繊細な(例えば)時計ベルトなら姫路。

    私はそういうイメージです。

     

     

    世の中には色々な革があります。

    タンニンとクロム。

    どっちがいいということはありません。

    また栃木も姫路もどちらもいい革ですよ!

     

    要は使い方、生かし方です。

     

    それでは!

  • ボックスレザーについて。

    皆さんこんにちは。

     

    いつもお世話になっている取引先のお客様に、

    上の写真の革を使用した部材を頻繁に提供しています。

     

    一般に「ボックスカーフ」とか「ボックス革」とか呼ばれている革です。

     

    「ボックスって?」と思われる方いらっしゃると思います。

    名前の由来は色々あるようですが、

    古くからの皮革業界の中では、「クツ用の革」という捉え方が多いです。

    この革を使用していたイギリスの靴屋さんが「ジョセフボックス」さん

    だったからという話を業界のベテラン聞にききましたが・・・、諸説あるみたいです。

     

    とにかく、カーフ(仔牛)革のクロム鞣しレザー、がこの革です。

     

    見た目、透明感があって、独特の奥行を感じます。

    紳士靴のあの感じです。

    が、その見た目よりも、クロム鞣しの利点として

     

    ・水分、汚れ、キズに強い。=多少の天候変化も気にせず使用できる。

    汚れてもサッと拭き取ればいい。

    キズがついても磨くことで十分リカバリーできる。

    ・経年変化をあまり感じない=革生地のクタクタ感や日焼けを年月が経ってもあまり感じない。

    ・柔らかいが、繊維が密=クロム鞣しなので、タンニン鞣しに比べ生地が柔らかく成形しやすい。

    クロム鞣しの場合、革の繊維はギュッとしまってくるので、破れにくいです。

     

    ザックリこんな特徴です。

    靴やケースカバーに使われる理由がなんとなく分かるでしょうか。

     

    この革って、特にプレスなんかしていると、やっぱりヌメ革と違って

    サクッとは型抜き出来ないんですね。

     

    繊維の締りがあるので、切れていない場合は、プレスの圧を上げます。

    手に持つと革のゴワゴワ感はないのに、結構強い。

    クロム鞣しの不思議を感じます。

     

    クラフトされるお客様から、時おり型抜きのご相談を頂きますが、

    特にこういった革の場合、手断ちは大変かなーとは感じます。

     

    機械、楽器、箱などのカバー、

    楽器屋さんからご要望のあるピアニカの持ち手にも

    使用します。

    キズに強く、生地は均一なので同規格量産品にも〇。

     

    規格品を作るメーカーさんはもちろん

    当社にお越しいただいたクラフトをされる方にも

    この革をご覧頂いています。

     

    どんな革でも、革は使い方。モノは使い方。

     

    作る方が、イメージするもの。

    使う方がリクエストしたいもの。

     

    自分の仕事はそのお手伝い。

     

    革を使う方に感謝。

    雨にも風にも負けないボックス革にも感謝です。