2020年5月

  • 革の化学成分。

    みなさんこんにちは。

     

    革が化学的に何でできているか、考えたことありますか?

    染めたり削ったり切ったりする私の場合、うまくいかない事が多いので、理由を考えるのですが、革を眺めていても

    全然分かりません。なので、性質を知る必要があります。その辺りはタンナーさんに聞いたりするのですが、

    自分でも調べたり実験したりします。ちょっと面白い話としてご紹介できたらと思います。

     

    革は、ここまで書いてきたように、動物皮の真皮層繊維=コラーゲンの繊維状タンパク質の集まりです。

    で、このコラーゲン繊維の集合組織にタンニン、クロム等の鞣剤が結合したものが、ここまでの革です。

    その他に、水分、脂肪分、灰分、が含まれています。

    重要なのは、鞣した革は普通酸性であるということです。タンニン革でpH3.5~5.5、クロム革ではPH4.5~6

    くらいです。中性は通常PH6~8です。

     

    鞣した革は通常多量の酸が含まれています。同時に革表面は強いプラス電荷が働いています。

    分子はプラスばかり、マイナスばかりだとお互い反発してくっつきません。なので、電荷を中性に

    しなければなりません。分子が離れたりくっ付いたりして、染料、薬剤、油脂、仕上げ剤なんかが、革にちゃんと

    馴染んでいきます。

    染料の種類で、アニオン、カチオンとか言ったりしますが、これは陰イオン、陽イオンのことです。イオン結合を

    スムーズかつ均一にするために革成分を一旦中和すると後の工程が上手くいきます。

     

    そのままの場合、後から加えた染料やその他の物質が革表面にのみ沈着して、革の物理的

    性質、見た目に変化を起こしてしまいます。また革の繊維が硬く締まっているので、ほぐしておく必要も

    あります。

    そういう訳で、中和させるのです。要はちょっとアルカリ性に戻してあげることで、一旦革を柔らかくしたりして、

    染料、オイル、仕上げ剤が入りやすい状態に革をしてあげる、という作業です。

     

    通常は、炭酸水素ナトリウムとかギ酸カルシウムなんかの温和なアルカリ塩を中和剤として使用します。硬度の

    高い水は普通に洗うだけでかなり中和されるのですが、そうでない場合中和剤を使用します。製革工場の土地の

    水質によってその辺りの使い方は違ってきます。

    注意する必要があるのは、急激にアルカリ性にふらないことです。中和が過剰に進むと銀浮き

    といって銀面が網様層から剥離しやすくなるからです。

     

    ちょっと、生成り=素上げヌメ革をご購入されて染たい、という方々にお伝えですが、よく染める前に色が

    均一になるように少し水で塗らす、ということをされるということを聞きます。生成り革も色々あるので、

    すべての成分を調べているわけではないので、一概には言えないと思いますが、水で濡らして

    湿ったまま時間が経つと、革の毛穴が開いていきます。水道水は基準としてPH5.8~8.6くらい

    が安全値として定められていますが、実際測るとPH6~7位のものが多いです。ちょっとアルカリよりなのが

    蛇口からでてくる実際値のようです。ちなみに革の中和を行う際、PH7以上は銀浮きのリスクがあります・・・。

    ヌメ革の表面が鞣剤の影響で強めの酸性を残しているなら、場合によってはPH高めの水に反応して

    急に表面が緩んでしまい毛穴が開いてくる可能性があります。

     

    革に水分を含ませて染料をムラなく入れる、というより、急に濃い色で染めず、最初色を薄く作って

    丁寧にだんだん濃い色を染め重ねていく、と毛穴が開かずキレイにムラなく革が染まっていくかと思います。

    クラフト用だと、水性塩基性ってやつと、アルコール性っていう染料があります。アルコール性は

    水に不溶性なので手早く染めていかないとムラが生じやすいです。ただ、発色がいいし、日光に強いです。

    浸透性は低い染料ですが、はっきりした色合いがでます。浸透性は低いのですが、横への広がりは大きい

    です。ムラが出やすいとはそういうことですが、表面染着量が多いので色目はハッキリ出ます。

     

    製革では、最終的に色ムラを修正する仕上げ染料として上記を使用したりします。

     

    今日は話としては、革を化学的に中和することで、一旦性質をリセットする、という話をしました。

    革は比較的酸には強いです。出来上がっている生成りヌメ革は弱酸性です。急激にアルカリ性に動くと

    組織変容を起こします。その辺り、少し知っているといいと思います。

    要は、アルカリ溶剤系は、使わない革サンプル等で試すか、薄塗りしてちょっとづづテスト

    しつつ使うってのがセーフティーです。あとは、局部的に使う場合はいいのですが、広範囲に

    塗布していく場合、どのくらいの面積を一度に作業できるか検討して、塗布濃度を調整するといいでしょう。

     

    今日はこの辺りまでにします。

     

    それでは!

     

  • 再鞣しの意義について。

    みなさんこんにちは。

    写真は工場2階です。現在はあまり使用できていない場所ですが、

    味のあるスペースとして活用することを計画中です。

    以前はこちらで洗いをかけた革を、伸ばしたりしていました。

     

    ところで今日は「再鞣」の話です。「さいなめし」?また鞣すの?という感じかもしれません。

     

    再鞣は本来主になる鞣しに施す別の鞣し、つまり複合鞣しの意味なんですが、現代の製革では、

    特別な仕上げの最初の第一段階目の工程として捉える必要があります。

     

    革の品質、性能に対する市場のリクエストは時代と共にどんどん多様化してきました。

    例えば、私が小学生の頃はランドセルの色は黒、赤、紺くらいでした。

    が、今はどうでしょう?ランドセルのカラーバリエーションは驚くほど進化しましたよね?

    また革製品全般を見ると、色だけでなく、ツヤ、シボ、型押し等質感も実に多種多様です。

    ユニークな革を探して他にないような製品作りたい、というのはすべての作り手さんの願いです。

     

    そういうニーズには単一の鞣し方法のみで革に変化をもたらすのは難しいです。

    鞣し、は皮タンパク質の化学的安定化といった狭い意味ではなく、革の外観、繊維の理化学的性質に

    変化を与えて目的の革を得る、という幅広い意味で捉える必要がでてきました。再鞣しで

    やることをまとめると、以下です。

     

    ①画一的に大ロットで鞣された革を用途別に選別して、厚み調整をする。

    ②革の多様化を図り、高付加価値化していくにあたり、新しい特性を革に付与する。

    つまり、伸び、柔軟性の物性改良、感触、膨らみ感の官能的品質向上、接着性などの加工特性を

    革に付与していく。

    ③PH調整(中和)~染色、加脂から出来上がる最終製品の革の特徴を考慮して、革下地の準備をする。

    ④再鞣は、その後の中和~仕上げまでの工程において理化学的物理的影響を与えるものであるから、最適な

    再鞣を行えば、革に掛かるストレスを軽減、耐久性のある良質な革質を保持できる。

     

    すいません。ちょっと難しく書いてしまったかもしれません。

    皮を完全な製品としての「革」にしていくにあたり、前回までの段階では皮タンパク質を安定化させたに過ぎません。

    なので、ここからは種類別に枝分かれさせていく、というイメージです。

     

    で、まずは、製品品種に分けるために革を選別します。

     

    革の適正は、主に銀面(皮の表面)のキズ、肌の状態を外観検査します。

    キズが少なく、良好なものは銀付き(フルグレーン)として、

    そうでないものは型押しや銀摺り(ガラス張り、ともいいます)革になります。

    コレクトグレインとも言われます。ガラスに張り付けて乾燥させてから表面をバフィング(削り、磨き)してから

    塗装や生地貼り付け用の革になります。固い革は靴やランドセル、柔らかい革はハンドバックになったり

    します。

     

    この選別の適否で、出来上がる革の品質が左右されます。

    銀面にキズが少ない革ならそのままその美しい銀面を生かした薄い染色、

    キズがもし多いなら、銀面を磨いて滑らか仕上げ、キレイに塗装すれば、キレイなランドセル生地に使えます。

     

    選別は最終製造への出発点となります。

     

    選別された革は、裏削り(シェービング)されます。目的の革に到達するために、厚み、を調整します。

    この段階のシェービングは、出来上がる革の厚さを考慮する必要があります。その後の再鞣しや染色、

    加脂で革の厚みや密度は微妙に変化します。それらを考慮しつつシェービング調整します。

    またシェービング、削ることで皮の重量は変わりますので、中和、再鞣し、染色、加脂、の重量に対しての

    レシピが変化してしまいます。なので、薬剤類の計算基礎項目になりますので、その後の製革において

    工程管理するときここがおかしいと、上手くいきません。

     

    ただ、重量だけ気をつけてもダメです。厚みが違えば、薬剤や染料類の効果や浸透性が違ってしまう

    ので、全重量と表面積の最適なバランスを計算します・・・。それは使う薬剤でも変わります。

    皮の重量、面積、厚さ、密度、対して薬剤の量、水分量を管理、目的の革を得るためのレシピを使い分けます。

    この辺りから当社業務の領域に入ってきます。中和、再鞣し、染色、加脂、仕上げ、と進んでいきます。

     

    次回は、中和について。

     

    中和?PH?普通レザークラフトなどでは意識しないことですが、個人の方がメーカーになっていく

    昨今、クラスト革からの革作りにご興味ある方がいることに個人的には驚いています。それだけみなさんが、

    生き物からの素材としての革に対して理解が深まっているのだと感じる今日この頃です。

    ある程度下味がついて準備されたお肉で、料理するか、素のお肉からやってみるか、の違いですが、

    どっちがいいかとか、その人それぞれです。個人的にどっちがいいかとかは特にないと思います。

     

    ただ、素のお肉的素材なら、ある程度扱い方を知っていたほうが美味しくなります。

    そんなことをこれからもお伝えしていきますね。

     

    それでは。

  • 革の鞣し方、色々。

    みなさんこんにちは。

     

    写真は鹿の革です。薄いですがしっかりした繊維の革です。

     

    前回まで、製革の鞣し工程で代表的な、クロム鞣し、植物タンニン鞣しについて書いてきました。

    皮の鞣し方は他にもあって今日は、ちょっと簡単にそれぞれの方法をご紹介します。

     

    ①合成タンニン鞣し・・・鞣し剤の紹介の記事で、少し書きましたが、軍需物資の利用拡大で皮革製造

    が大量になり植物タンニンの需要が追いつかないので、戦時中に合成タンニンが開発されたって話

    覚えていらっしゃいますか?

    合成タンニンは、そんなニーズから生み出された鞣剤ですが、実際はクロム、植物タンニン、その他の

    鞣剤と一緒に使用されることが多いです。皮の鞣し目的はもちろんですが、革の品質改善、他の鞣剤の

    助剤として用いられています。ヌメ革の例ですが、ピット漕とドラムを併用して鞣す場合があります。英国式

    とかイタリア式とか、それぞれの国のタンナーさんの方法があり、日本のタンナーさんもその方法を

    お手本にしていたりします。

    準備段階で脱灰したら一旦ドラムで前鞣しをして、サスペンダーというピット漕につけ、その後また

    ドラムで鞣していくという方法です。前鞣しで合成タンニンを助剤として使用することで、植物タンニンの

    浸透を早めます。この方法でヌメ革の鞣しが一か月程度で可能になりました。

     

    合成タンニンを単独で用いる場合では、白革製造があります。クロム鞣しのところで、少し書きましたが、

    鞣す最初にピックルという工程があって、PHを3くらいに(酸性に)しています。浸酸、酸浸けともいいますが、

    これを行ってからドラム内で合成タンニンを使って短時間で鞣していきます。PHを調整して合成タンニン剤の

    浸透を促進、ドラムの回転を利用して、ヌメ革を短期間で製造する方法です。クロム鞣し的な工程を、合成

    タンニン使用で行うイメージでしょうか。

     

    ②アルデヒド(ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドがあります)鞣し・・・主にキッド、シープ

    (子ヤギ、ヒツジ)を原料とする、白や淡色の手袋用革の製造に用いられますが、

    いずれも前鞣しか再鞣しに用いられます。ホルマリン鞣しは耐水性に劣ります。

    が、面白いのは、グルタルアルデヒドは、耐水性、耐汗性、耐洗濯性を革に付与する効果があります。

    ただ一方、革を黄色く変色させたり、引き裂きやすくさせたりする欠点があり、薬剤のメーカーが

    それらを改善したグルタルアルデヒドを出しています。

     

    ③その他の金属鞣しとして・・・ジルコニウム鞣し、白い靴の甲革を作ります。アルミニウム(ミョウバン)鞣し、

    主として毛皮や白革の製造に用いられます。これらは、非クロム系の鞣し革として、ウェットホワイト、と呼ばれ

    ています。ちなみにクロム鞣しの革はそれに対して、ウェットブルー、といいます。薄い青色の革です。

     

    ④油鞣し・・・この方法では、セーム革が代表的です。セーム革は自動車清掃用の革やガラス磨き等によく

    使われています。シカ、ヒツジ、ヤギの革を用いて、上記②のアルデヒド系鞣剤にタラ(魚の)脂を浸透させて

    鞣します。油の不飽和脂肪酸が皮タンパク質と結合、吸着することで鞣しが行われます。機械的強度が弱い

    柔らかい革ですが、耐洗濯性があるのが面白い特徴ですね。清掃用品として実は革に接していたという

    ことです。

     

    あと全く異なる方法ですが、日本古来の油鞣しの方法として、菜種油を使った「姫路白鞣し」もあります。

    こちらについては、私個人的にとても興味がありますので、また勉強して皆さんに紹介したいです・・・。

     

    そんなこんなで、色々鞣し方法をご紹介してきました。

     

    鞣し作業が終わったら、一応、皮は革になっているのですが、そのまま革製品の材料になることは少ないです。

    この後、革によっては染色、加脂、の工程に入ります。その後水絞りを行い、伸ばし、表面仕上げと製革は、

    まだまだ続きます・・・。

     

    一応ここまで行い、伸ばし、乾燥まで行った中間材料としての未仕上げの革を「クラストレザー」といいます。

    一応、区分けとして貿易上は「鞣した」とされていて、まだ革製品ではありません。当社では、この段階の

    皮→革を用いて加工、鞄等の材料製作を行います。

     

    なので、こういう素上げ革を購入されてクラフトされる方は、場合によってはよりご自分の目的に沿った

    方法で革を染めたり、表面仕上げしたりが可能です。イメージとしては、プレーンな生地から自分好みに

    して製作するという感じ。

     

    正直ここ以降も、革の化学的性質の知識が必要かと思いますが、もっと大事なのはやはり感性になってきます。

    みなさんの作品を見せて頂くと、「それぞれが違って、それぞれがいいセンス」といつも思います。

     

    そんな、みなさんのセンス、が発揮されるようなヒントをご紹介したりお手伝いしたり、をさせて頂けましたら

    といつも思っています。

     

    まだまだ、製革の話は続きます。それでは。

  • 植物タンニン鞣し。

    みなさんこんにちは。

     

    写真は国内老舗タンナーさんからお分け頂いているザ・ヌメ革です。

     

    今日は植物タンニン鞣しについて。

    こちらのタンナーさんはピット漕での植物タンニン鞣しにこだわっていらっしゃいます。

     

    植物から採ったある物質は、紀元前600年頃には地中海沿岸ですでに鞣剤として一般化していました。

    ヘブライ人は脱毛した皮の染色を行おうとして、樹木の黒茶色いエキスを使いました。植物タンニンなめしの起源と

    言われています。

    植物からとった枝や葉、樹皮から出たエキス・・・、すべての植物界に存在する「渋」というものが、

    皮を鞣す効果があることは、経験的に知られていました。

     

    化学的にタンニンってものを説明すると「ポリフェノールを主成分とする混合物で、収斂性が強く、

    その水溶液はタンパク質等と結合して不溶性の沈殿を生じさせる物質」というものです。

    高いヴィンテージワインとか底のほうにオリがあったりするそうですが、物質としてはそれですね。

    「ポリ」=「たくさん」という意味です。「フェノール」っていう物質は手(官能基)を一個持っていて、

    こいつらがくっついていて手が何個かある物質をポリフェノールって言います。

    大体の植物に入っています。

    カテキン、アントシアニン、プルプミン等色々な形、種類があります。また化学の世界ですね。

     

    で、そういったポリフェノールの中で、タンパク質にくっついて別の塊を作るのものがあります。

    これがタンニンと呼ばれているものです。

    タンニンはタンパク質などの有機化合物や金属イオンと結びついて複合体を作るポリフェノールのことです。

     

    タンニンには大きく2種類あります。

    ①縮合型タンニン(カテコールタンニン)・・・酸や酵素で加水分解されない。イオン化せず水素結合する。

    主な植物は、ミモザ、ケプラチョ、ガンビア、カテキュ(阿仙)等。阿仙は天然染料でも使用されています。

    ②加水分解型タンニン(ピロガロールタンニン)・・・酸、酵素で加水分解される。イオン化する。収斂性は

    あまり強くない。

    主な植物は、チェストナット、ミロバラン、ディビディビ、樫、等。

     

    ただ、完全にそれぞれが分かれているわけではありません。各植物、①と②を併せ持っていることが、

    ほんとんどで、①、②の特徴をよく示すので一応それぞれにカテゴライズされているだけです。

    そのそれぞれの特徴を利用しつつ皮を鞣していくのですが、天然のタンニンに関してはまだまだ

    分かっていないことが多いようです。例えばそれぞれのタンニンの分子構造が

    植物体内で合成されたものなのか、エキスを抽出しているときに重合されたものなのか等、

    結構謎がまだあります。

     

    と、いうのは、天然ものの植物タンニンは多成分なので、すべてを分離して調べるのは困難な為です。

    分子の世界でのタンニンと皮との反応はとても複雑なのですが、コラーゲン繊維との結びつき方としては、

    ①水素結合

    ②静電結合

    ③不溶化タンニンの繊維間への物理的沈着(=革に充填性を与えます)に分けられます。

    この作用を植物タンニンでコントロールしていくことで皮が革になっていくのです。

     

    タンニン剤を使う方法として、

    収斂性の強い、ミモザ、ケプラチョ、中程度のチェストナット、弱いガンビア、ミロバラン、

    などを使い分けてタンニン漕(皮を浸すプールです)に皮を浸けていきます。

    これらのタンニン剤を使い分けることで同じヌメ革でも、タンナーさんの意図する個性を持った

    ヌメ革が出来上がります。

     

    鞣製作業は、3工程のプールに分かれます。それぞれプールに浸ける期間も違います。

    上記の①~③を下記の場所で、タンニン剤を使い分けて行っていくイメージです。

    長期間かけてじっくりタンニンを濃くしていきます。

    ①ロッカー・・・タンニン濃度が最も低い漕 5~7日

    ②レイヤー・・・中程度濃度の漕 40~50日

    ③レタン・・・一番濃度が高い漕、鞣剤の原液に近い 7~10日

    タンニン液は③へ注入され、②、①へピット漕設備内を流れていきます。逆に皮は①~③へそれぞれの

    期間を経て移動されます。

    最後に、渋はき、という、エキス溶解漕での工程(1~2日)を経たのち皮は革へ生まれ変わっていきます。

     

    という、ピット漕の場合、実に2~3か月かけて皮鞣しが行われています。

    生き物がお肉になって、剥皮、防腐処理、保存輸送、洗浄、鞣し準備作業、からの長期間鞣し・・・、

    ここまででも十分遥かな長旅に感じます・・・。

     

    で、この後革によっては、再鞣し、染色、仕上げ、計量があってやっと出荷!

    色々なカットなど加工があったりして革屋さんに革が来て・・・。

    本当に長い繋がりの中の一部にしか自分の仕事がない、ということをやはり実感します。

     

    この長旅を考えるなら・・・、

    植物タンニン鞣しは結構な手間とコストがかかるから、と、他の鞣し方法を人々が考えるのは当然でしょう。

     

    ところで、タンニン鞣しは、タイコでもっと短期間に行う方法もあったりします。

     

    その辺りは次回以降、ご紹介してみようかと思います。

     

    ああ、ヌメ革って実に有り難いです。