2019年8月

  • 床革の使い方として、とにかく「作る」という行為を目的として。

     

    こんにちは皆様。

     

    写真は、わたくしが、床革で作成してみたブックカバーです。

    お恥ずかしい出来ですが、床革をどうしても有効活用してみたくやってみました。

     

    無謀にも、床革の染料染め。

     

    当然ながら、どっちの面から染めていっても色が染みます。

    にじみます。色が。

     

    そりゃそうです。

    床革って、むき出しの繊維質のシートなので、まあ、普通の布きれに色を入れているのと同じです。

     

    が、面白いくらいににじむので、両面からトントン色を叩きまくっていきました。

    あんまりやり過ぎて、かなり濃くなってしまいましたが。

    上手で、センスの良い方なら、薄く爽やかな感じになるのでしょうか。

     

    で、まあ最終的にトコノール(という革の毛羽立ちを抑えるための、糊みたいなもの)を塗って

    ガラスでちょっと磨いて終わりにしました・・・。

     

    どうして思い立ったのかというと、

    床革は、染料で染めた場合、当然色が強くにじみますが、布ほどはにじみ過ぎず、

    時間はかかりますが、

    ①両面から色を入れて様子を見て乾かす、ということを厚みのある革ならそこそこじっくりやれる。

    ②切ったり、縫ったりが吟面付きの革より、容易。

    だから、です。ユックリ、ユルイ気分でやりました。

     

    製品にするのは、クオリティー、品質保持、という観点から、向いていない素材です。

     

     

    でも、自分が作った、自分使い(普段使い)の様なものなら?

     

    また、かっこいいとか、上手く作るということが目的ではなく、

    作ることで、心を落ち着ける。

    作ることで、体(手や思考)の機能を改善、維持する。

    ということを目指すなら、柔らかい素材としてどうだろう?

     

    ということで、やってみました。

     

    普段使い用の物を気楽に作る素材。

    スケッチブックのような感覚で使える素材。

    塗ったり、描いたり、切ったりが容易な素材。

    麻みたいなイメージの素材、動物性ですが。

     

    それを使って、心や体をリラックスさせる。

    そういう目的で、クラフト素材として提供できないか、考えています。

     

    もちろん吟革でも癒されます。その生地の滑らかさは一種の魔力さえ感じます。が、いい生地で、高価であればあるほど、作るときは緊張や気合いが入ってしまいます・・・。

    私も職人40年の社長も、お客様が本気で良い製品を作るために当社に加工を託して下さった素材の場合は、真剣勝負のプレッシャーになり、血圧に影響します(本当に)。

     

    が、床革は、「多少失敗してもいいや、変化を楽しもう」

    というリラックスした気分で取り組めました。

     

    まるで箸休めですね。

     

    出来たものは人にお渡ししませんが、作っている時間は自分にとっては、なんかいい時間だなーと思いました。

     

    自己満足かもしれませんが、

    自分が食べるだけのごはんを無心にちょっとだけ作って、

    只、少しおなかいっぱいになる、

    みたいな感じ。

     

    革を見たり触ったりしていると、なんかそういう

    ニュートラルな気持ちになるのは、私だけでしょうか。

     

     

    と、いうか、本当は仕事をする際そうやって力まない境地まで行くのが重要なのでしょうか。

     

    ふと、まるで空気を吸うように仕事している社長の姿を見て、

    自分はまだまだだな、と感じました・・・。

     

    では!

  • 革漉き、ベタ漉きは初めて頼むので・・・、という方へ手順をお伝え致します。

    皆様こんにちは!

    革を漉くと、こういった床革が出ます。写真はお預かりした革を薄くスライスした後に出る床革の部分です。

     

    ところで、この半年位で大変有り難いことに、業者様だけでなく個人様でクラフトをされる方からも

    革漉き、ベタ漉きのご依頼を頂けるようになりました。

     

    が、WEBサイトを作って一応のご説明をさせて頂いているのですが、

    まだまだ、分かりにくい!一枚でも頼んでいいのか分かりませんでした・・・、というお声をお聞きします。

     

    本当に申し訳ありません。私の紹介の方法がいたらないのを痛感しております。

     

    詳しくはお問い合わせページにあるのですが、

    以下、ケーススタディとして、ベタ漉きをご依頼頂く際の流れを簡単に説明させて頂きます。

     

    ①WEBサイトの「お問い合わせ」ページから、メールフォームご記入欄に、

    ・革の種類(牛、豚、鹿、羊、等・・・基本爬虫類やお魚などは当社機器では対応できませんので

    お断りさせて頂いております。人工皮革やプラスチック樹脂等は可能かどうかご相談させて頂きます。)

    ・素材の大きさ、素材の原厚

    ・加工する際のご希望厚

    ・加工枚数

    ・ご希望納期

    を、ご記入して頂き、その他の入力欄にもご入力頂きましてご送信下さい。加工指示書のフォームも用意させて頂いておりますので、そちらをご活用頂きファイル添付して頂いても構いません。

    もしくは、お電話でも承りますが、メールにてご連絡頂けましたら助かります。

    ベタ漉き加工料金・・・100デシ程度~半裁 一枚500円

    それ以下の大きさの革  一枚400円

    (同じ革質、同じ原厚、同じご希望厚加工の場合は2枚目から250円)

    一枚からのご依頼でも大丈夫です。

     

    ②メールの場合は一営業日中に返信させて頂きます。お電話でありましたら、その場で詳細をお話し致します。

    ③元払いにて、こちらに革をご送付下さい。革の裏(床面)にチョーク等で、加工ご希望厚を書いて頂けましたら助かります。またシールホチキス等はおとりはずし下さい。機器の破損につながりますのでご協力下さい。

    ④到着から1営業日中に、加工、返送させて頂きます。返送後、メールか電話にてご連絡致します。

    (返送料は基本こちらにて負担させて頂きますが、加工費用1000円以下、また東海圏以外のお客様は、返送料を請求書に明記致しますので、加工費と返送料が請求金額となります。)

    ⑤請求書に明記させて頂いた当社口座へ、請求金額をお振込み下さい。一週間~10日以内位にご入金頂けましたら助かります。

     

    上記、の流れです。

     

    もしご不明点ありましたら、お電話、メールにてご質問下さい。ご説明させて頂きます。

    お支払いが、現状銀行お振込みになっております。大変申し訳ありませんが、お振込み手数料はお客様にご負担頂いております。今後よりご利用頂きやすい方法にしていく予定です。現状お手数おかけしており大変申し訳ありません。

     

    また、お近くの方で当社まで直接お越しの際は、ご訪問日時をご連絡下さい。その場で加工できる場合は即加工させて頂きますが、先約のお客様や業者様の加工が多い場合は、お預かり後に加工、後日お返しになる場合もありますので、一度ご連絡、ご確認頂けましたら助かります。

    ご訪問頂いたお客様は当然ですが、送料はありませんので、加工枚数分の料金となります。

     

    以下、ご注意頂く点です。

     

    ・当社機器は基本、大きくて厚い革をスライス加工する機器です。

    ・大体0.8ミリ厚までの加工に適しています。厚さ8ミリ等、原厚が厚めの革の加工も承ります。

    ・加工厚は0.1ミリ単位でご指定頂けます。

    ・革という自然素材の為、部位により精度に違いがでる場合があります。

    ご理解の上で依頼頂けましたら幸いです。

    ・お預かりした革(柔らかい革など)によって、漉き落ちのリスクが考えられる場合は

    革を傷めない範囲で加工させて頂いております。

     

     

    ベタ漉きのご依頼~お渡しまでの流れは、このようになります。

    長い説明になり申し訳ありません。

     

    自分でも思いますが、かなり、注文の多い料理店、みたくなってますね・・・。

     

    当社の体制が皆様のリクエストに追いついていないのが現状だと思います。

     

    よりシンプルに気楽にオーダー頂ける体制にしていきますので、

    今しばらくお待ちください。

     

    それでは!

     

  • バンドマシン(革漉き機、ベタ漉き機、割漉き機)メンテナンスのお知らせ

    8月26日(月)~9月4日(水)まで、バンドマシンのメンテナンスの為、ベタ漉きの即時対応が、

    出来ません。

    期間中ご依頼頂きました場合、機器メンテンナンス終了後に、即時対応させて頂きます。

    現状ご依頼頂いた場合、加工の対応は9月初旬以降となります。

     

    急なお知らせになってしまい申し訳ありません。

    大変ご迷惑おかけ致しますが、ご理解の程宜しくお願い致します。

     

    メンテナンス終了しましたら、またこちらにてお知らせ致します。

    今後ともよろしくお願い致します。

     

  • 半裁、大判革のベタ漉きをお考えの方へお伝えしたいこと。

    こんにちは。

     

    写真は、多脂ベンズ革の床革です。

     

    半裁革を割漉きして皮革製品業者さんにお渡しするのは、当社のメイン業務でもあります。

    半裁、大判の革をお預かりすることもありますが、

    6~8mm位でタンナー様から当社に入った革を、ご希望厚に割漉き加工して出荷します。

    主にヌメ革です。

     

    割漉き、とは1センチ弱の厚みのある革を、大きく革を(断面から)割るようにスライスすることです。

     

    大型でパワーのある重機であれば可能ですが、

    実はこれ、何回かに分けてスライスすることが多いのです。

     

    機器を調整しても、6.0ミリをいきなりピッタリ2.0ミリ等にするのは結構難しいので

    1回目3.0ミリ弱くらいにして2回目でピタリを狙うという方法をとります。

     

    また、出来るだけ生地全体を均一な厚さにしていくため、何回か漉く必要が出ます。

     

    革、皮は自然の産物であるため、部位により厚さ、固さに変化があります。

    一般に動物、特に哺乳類は、上半身の方が皮が固く、下半身の方が皮が柔らかいものです。

    すいません、当社は基本爬虫類とか魚とかの革、皮を漉くことがないので、

    その辺りの生物に関しては、感覚としてあまり分からないのですが・・・。

     

    要は、固い部分はサックリと刃が入ること、またバンドナイフのロールに革が入る瞬間、圧がかかること、

    柔らかい部分は刃が入りにくいこと、を考慮します。つまり・・・、

     

    ①固い部分から革を入れると、革生地に素直に刃が入る→固ければ比較的生地がヨレにくくキレイに刃が通る。

    ②革は肩が固く、尻が柔らかい。→上手く柔らかい下半身から入れれば、革を漉きすぎない。

    ③先に刃を通す部分は薄くなる。→後に入る部位は厚くなっていく。

     

    という3原則を考慮して作業することになります。

     

    革は原則、最初尻から機器に入れて漉いて、全体の厚みを見て、次逆方向から漉いて、厚みのムラを

    整える方法を取ります。最終的に再度左右のゲージ調整を行い厚い部位に深く刃を入れる、

    薄い部位は少し削る位になるように刃を入れる、ということになります。

     

    また、漉きシロ(原厚)が多い方が、精度は出しやすいです。

     

    あと、大切なのは、最初にロールに入る部位と後にロールから出る部位、の距離が

    出るほど、厚さに差位が発生していくことです。

     

    そこを計算して数回に分けて、割り、漉きします。(業界では漉き割り、割漉き、両方同意で言葉を使います)

     

    随分長いウンチクになり申し訳ありません。

    結局何をお伝えしたいか、・・・というと、

     

    大きい革で、漉きシロがあまりなく、柔らかい革である場合、

    精度が出しにくい、ということです。

     

    また、当社機器のような重機の場合、固くて厚く大きい革のダイナミックなベタ漉きや、小さいパーツの大量一気漉きに向いている、という点です。

     

    デカいブルドーザーみたいなもんですから、あんまり細かい優しい運転は、実は、ちょっと苦手。

     

    もちろん、どんなリクエストも検討の上、対応はさせていただきます!が、一応その辺りご理解

    頂いて、ご依頼の革をどうするか、どれにするか、検討して頂くと良いと思いますよ!

     

     

    全体を完全に同じ厚みにするのは革の場合限界があります。他の素材との大きな違いです。

    それがまた、革の楽しいところ!だと、私は考えていますが。

     

    基本同じになりようがない、揺らぎ、ってやつ。

    生地の顔、も含めて。

    でも、それをどうコントロールしていくか。それとも、そのまま生かすか。

    どうするか。

     

     

    とにかく高い精度で同じ厚みが欲しい!という場合は・・・、

    ある程度小ぶりに裁断して頂いていればいる程、精度は高くなります!

     

    多くの革製品、量産品は、裁断後の漉き作業で、厚み精度を上げていますから・・・。

     

    最近のご依頼で、A4、A3、くらいサイズもご依頼頂きます。

    クラフトをされる方よりのご依頼にも、できるだけ対応していきたいのが、

    当社、私の今後の方針ですので、ご相談はお待ちおります。

     

    でも、結局、0.1m単位等で細かく厚み調整したクラフト材料があればいい気もしますが・・・、

    個人的には魚の切り身みたいだなー、とか考えてしまいます。

     

    すごく便利だとは思いますので、そういう単位で加工していき、

    販売もしていきますね。

     

    が、結局は私自身の日々の精進が大切です!

     

    みなさんからリクエストを頂きつつ、いつも勉強させて頂いております。

    本当にいつもありがとうございます!