2019年2月

  • 型抜き裁断、承ります。

    革以外の素材、プラスチック板、スポンジ、布、等の生地の型貫裁断のご相談頂いております。

    ロット数や生地種類に関するお問い合わせは問い合わせフォームよりメール、お電話

    頂けましたら、お見積させて頂きます。

    抜型ありましたら、お借りして裁断いたしますが、なければ金型作成のご提案も致します。

  • 革漉き、ベタ漉きはイメージ、操作、実験、検証、経験、本番。

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    部材や生地の全面を漉いて(薄くして)厚みを調整することを、「ベタ漉き」といいいます。

    また、5~8mmなど厚みのある革をスライスすることを「割り漉き(漉き割り)」といいます。

    今日はその話です。

     

    当社は、革製品を制作されているメーカーさん、特に鞄、楽器、刃物ケースなどが

    多いですが、その他はスポーツ用品、工業用部材メーカーの業者様に、革を様々な形に加工して

    お届けしています。

     

    その際重要になるのが、革漉き、ベタ漉き、です。

     

    ある程度たくさんのロット数を、短い時間で大量に漉くことが可能です。

    また、半裁の様な大きな生地全体を1mm程度まで薄く漉くことも可能です。

    機械はバンドマシンと言って、ベルト状の大型刃物が高速回転して、素材をスライスします。

     

    ヘリ漉き、ヘリ下漉き、溝漉き、等他にも製品化するに辺り様々なバリエーションの

    漉き方があります。こちらはテーブルサイズの革漉き機を職人さんが丁寧に漉きます。

    当社にもありますが、当社メインはバンドマシンになります。

     

    皆様ご存じの通り、革は厚みがありますので、例えば布のようにそのまま

    縫ってしまうと、かなりの分厚さになります。と、いうか縫えませんね。厚すぎて。

    通常、目打ちと言って縫い目の穴を開けてから糸を通します。

    多くは工業用ミシンを使用しますが、やはり漉いていないと機器に負荷が

    かかりすぎます。

     

    ですから、特に天然皮革の場合、革漉きの工程は、

    製品の見た目、加工効率からも、避けては通れない工程です。

     

    まず大量に生地やパーツをベタ漉きしておいて、その後、部分漉きを行うのが

    通例かと思います。

     

    業者様から加工依頼はいつも頂きます。本当にありがたいことです。

    そして、このところは、ハンドメイドのクラフトをされる方からもお仕事頂くことが

    あります。

    本当にありがとうございます。

     

    量の多少に関しては、あまり気になさらずお声お掛け頂ければと思います。

    私としては、「手で漉いてる」、「小型漉き機を駆使してやってます」、などお聞きして

    「もっと早く当社があることをお知らせしておけば、そういうご苦労もなかったのに・・・」

    という思いです。

     

     

    とにかく、今日も革漉きです。

     

    まず、革を広げ、生地見をて、全体を触って、「1.2t(mm)ならこうなるな。」

    とイメージ。革の頭、首、背中、お尻、手足、の厚さや固さを手で確認します。

     

    一旦、バンドナイフの各部分を調整して、ご希望厚を出せるように操作。

     

    似た革質、厚さの革を用意して試し漉きします。

    そして、機器調整、試し漉きを数回繰り返し、イメージ通りの革になるか

    テスト、実験していきます。

     

    ご希望厚になったら、加工させて頂く革のサンプルを漉いて、ピッタリになるか検証。

     

    OKなら、そこで、本番、なのですが・・・、

     

    革は、自然のものである以上、個体差があります。

    生地が均一でなく、シワ、波ウチが当然あります。

    機器の調整を素早く変化させるだけでなく、漉き機に入れる際の生地の

    シワの伸ばし方、手の力の強弱、繊維の方向を考えた入れ方、

    個体の革の部分部分の厚さを考慮して、ラフに漉いてから、漉きならす、とか・・・。

     

    本当に短時間なのに、瞬間で判断して行動に移します。

    職人の経験に裏打ちされた上での本番です。

     

    間違えたらお客様の大切な革をキズつけてしまいます。

    失敗は許されませんが・・・、イメージ通りの革になるのは最高です。

     

    通常一回調整して、あとは同種の革を一気に漉いていきますが、

    レザークラフトをされる方は、本当に色々な革をお持ちで、

    見ているだけで、私は楽しくなります。が、革質、厚みのバリエーションが多い場合、

    都度、機器の調整と本番に至るまでの試行錯誤が多くなるのは事実です・・・。

     

    でも、「助かりました」と言って頂ければ、父も私もこれ以上のことはありません。

    ニーズがあればおこたえしたいし、私もみなさんが楽しくなれるようなことが

    出来ればいいな、と日々妄想しています。

     

     

    写真は、定期的にベタ漉きご依頼頂くお客様からお預かりした革、の床革です。

     

    厚い革を薄くすると、副産物として、床革(スライスされ残った革)が出ます。

    こちらは、切れたり破れたりしなければ、お返ししています。

    ご不用の際は、こちらで何かに再利用させて頂きます。

     

    ヨーロッパレザー、きれいだなー。

    でも、漉きは緊張する。当然か。

     

    では。

     

  • 床革の利用について。

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    Webサイトを開始してから、業者様だけでなく個人でレザークラフトを

    される方からも革を漉いて欲しいというお問い合わせを頂くように

    なりました。

     

    本当にありがとうございます。

     

    皆様のご要望にお応えすべく、日々精進しております。

     

    革を漉くと(当社の場合、漉き割り、ベタ漉き。)その副産物として

    床革、というものが出ます。

     

    通常の革は、スベスベした銀面(吟面と書く場合もあり)と

    ザラザラした床面(裏側)に分かれます。

     

    裏面としましたが、ベロアとかスエードとか、そっちを磨いて

    表にして使う時もあります。革はその表情を利用して色々な方法で使われます。

     

    あまり意識されていませんが、馬革のコードバンって床面を利用してるって

    知ってますか?あれって床面の中にあるコードバン層を削り出した革なんですね。

     

    当社は牛革が主なんで、コードバンは仕入れていませんが、お客様から

    お預かりして裁断をさせて頂くことが多々あります。一見銀面にしか感じられないのですが、

    あれは床革の一種なんですね。

     

    床革は実は奥深い。

     

    そもそも、牛の床革を使用するという概念というか、

    発想はクラフトされる方はあまりないのかもしれませんが・・・。

    床面の繊維構造をまとめているのが銀面であるし、

    床面は給水性が高すぎます。

    要は薄いと破れやすく、シミになりやすい為、使いやすくはありません。

     

    ただ、当社では、やはり革漉きはメイン業務なのでその副産物の

    床革は多く出ます。

    自然の贈り物である以上、いつも有効活用を考えます。

     

    先日、当社で革をご購入頂いたお客様が、床革を使ってお作りになった財布を

    持ってきて下さいました。当社で漉いた革を利用頂き作成されたとのこと。

    手触りが銀面とは違う優しさがあり、さすがの、美しい出来栄えでした。

    お見事です。

    ただ、表面を仕上げる際の汚れ、防水の処理は課題になるとのこと。

     

    難しいですね・・・。

     

    一番上の写真は、当社が床革を染めたものです。

     

    幼稚園、保育園さんでご使用頂けるランドセルのカブセ(鞄部材用語で開口部を覆うフタを指す)

    になります。

    顔料にて染め、防水加工します。

    写真はまだこれからの段階ですが、何回か染めたあと、表面をアイロンがけ

    したり、型押しをして革に表情をつけたりします。

    この部分は重量があまりかからない為、破れ変形はありません。

    また床革は軽量なので、やはり小さい子が背負うのに適しています。

    さらに床革はやはり、銀に比べ、加工がしやすいという利点もあります。

     

    職人である当社の父が考え、お客さんのご要望から導き出した方法です。

     

     

    素材は使い方で、余すところなく利用できますね。

     

    私もそういう知恵の使い方ができるように精進していきます。

     

    では。

     

     

     

     

     

     

     

     

  • クリッカー(裁断機)での型抜きについて。

    こんにちは。

     

    一つのことに集中して作業すると、気持ちが落ち着くことってありませんか?

    革で作るお仕事をされている方は、革に気持ちを集中させていらっしゃると思いますが、

    いかがでしょうか?

     

    私の場合は、クリッカーによる裁断もその一つです。様々な革製品の業者様から

    「この鞄のこのパーツ達を500組」などという形で、ご依頼頂きます。

    ありがたいことです。

     

    そして、革を広げ考えるのは、「いかに無駄なく型入れするか」ということです。

     

    自然の革は生き物の皮から出来ていますので、当然、真四角とかありえません。

    そして綺麗な場所、シワのある場所、様々です。

    型も色々な形なので、生地に当てはめると裁断した後、どうしても残ってしまう部分が

    発生します。歩留りというものです。

     

    それをいかに最小限にするか。同時に革の繊維の方向やシワを考え、均一な部材に

    していく。かつ、部材のふちがが絶対欠けないようにすること。

     

    裁断した後に残る革を見ると、経験や技術はさることながら、素材に対する理解や愛情、

    そして革への集中力など、全部出てしまう。父の裁断後の革はキレイに食べられた魚の骨みたいです。

    プレスしている時、心落ち着くのですが、自分が残す残骸を検証すると、

    心揺れますね・・・。

     

    革、素材をしっかり有効に使い切る。もっとそのことに集中せねば。