• 晴れた日を狙って染革

    みなさんこんにちは。

     

    昨日はとても天気がよく革を染めました。

     

    ただ、今日は朝から雨。

    昨日、雨のかからない場所に革をちゃんと移動させておきました。セーフ。

     

    秋は乾燥した日が多く革染には良いのですが、

    ちょっと油断するといけません。

    だから天気も状況も常に変わっていくと考えます。

     

    写真は、金茶、という色です。

    幼稚園用のランドセルのカブセ部分に使う革を作ります。

     

    顔料の黄色と黒などをベースに混ぜて、染料メーカーさんに

    調色をして頂きます。

    色は自分で作るのですが、少しでも配分が変化すると、色ブレが起こります。

    なので、継続的に使用する製品で、それが目であまり分からない範囲でも許されない場合は、

    ちゃんと色を作って頂きます。

     

    顔料であれば、ここまでやれば革の地の色が少し変化しても

    まず色がブレることはありません。

     

    しかし、染料は、地の色が変化して、それを生かして行うので、

    むしろ色の立体的変化を重視します。

     

    そこは顔料とまったく違うところです。

     

    さて、調色はして頂くのですが、色を混ぜた場合、

    色はそれぞれ比重が違うので、塗料缶を開けた際「黒?」

    となります。

     

    長時間経つと、黒は比重が軽い為、上に行きます。

    茶など、他の色は下に溜まります。

     

    なので、一瞬あれ?と思うのですが、かき混ぜていくとちゃんと

    目指す色がすぐに出ます。

     

    他、色が革にしっかり付くようにバインダーを何種類か混ぜます。

     

    バインダーは縦方向、横方向、という組織の合わさり具合を調整するものや

    表面の硬さを調整する、柔らかさ、硬さ、を調整するものがあります。

     

    細かくはここに紹介しませんが、

    それらを調整して最適な生地の状態を目指します。

    特に硬さは重要です。

    硬くても柔らかくても、割れや伸びの原因になるので、革の具合を考慮しつつ微調整します。

     

    上手くいったら、しっかり乾かして、クリアコーティングして

     

    アイロンをかけていきます。

     

    そこまで行ったとき、「運が良かったなあ。」

    といつも思います。

     

    天気じゃないですが、革を染める場合準備していても、

    常に不確定要素は付きもの、という前提でいようと自分に言い聞かせています。

     

    加工の際、計画、準備はします。

    途中までその通りでも、何かは起こります。

    だから、対処が面白いし、次の準備に繋がる。

    で、ちょっとづつ、やり方が最適化していく。

    そして、そこに終わりはないようです・・・。

     

    今日から明日は雨のようですが、

    そういう時もあります。

     

     

    それでは。

  • ランドセル用の革は、クロムとヌメのいいとこどり。

     こんにちはみなさん。

    写真はランドセル用の革で、シルバー色のものです。

     

    ところで、ランドセルの革ですが、一旦クロム鞣しをして、

    その後クロムを抜いてから、タンニンで再鞣しをしている革です。

     

    クロム革の加工のしやすさに、タンニン革の張りコシを加え、

    ある程度強度を増しながら、色のコーティングや裁断に適した革が作られます。

    革を使いながら、この生地をお作りになったメーカーさんの凄さを感じます。

     

    本当に自分はタンナーさんメーカーさんの途中の繋ぎ目になれて幸福です。

     

    この革はお腹開きの革です。大きいので、一旦背中で粗断ちします。

    その後、プレス機などで裁断。

     

    背中の部分は固いですね・・・。

    プレスもこの辺りは多少ヘッドの位置を落とし気味にして、

    裁断します。

     

    裁断面がすっきりきれい、になるように、繊維のバリがでないように設定。

    強すぎると、金型が食い込みます。

     

    さっさと位置を決めてリズムよく作業します。

    調子に乗せたらとにかく集中。

     

    今日は天気が良さそうです。

     

    それでは!

  • 雨の日は革にアイロン・型押しがしやすい。

    こんにちはみなさん。

     

    季節の変わり目、雨の多い日が続きますね。

    雨の日は、革が湿気を含みます。

     

    そんな時はアイロンです。型押しです。

     

    ヌメ革は可塑性があります。湿気によって水分を含んだ革は素直に形を変えてくれます。

    また、しっかり金型の跡が入ります。

    通常、「アジをする」といって、革に水分をスプレーガンで吹き付けてから

    アイロン、型押しをします。

     

    アジはしましたが、今日は水吹きは少な目です。

     

    一枚目写真は革のシワがなくなるよう、アイロンに入れているところです。

    二枚目写真、鉄のロールが革生地の載った板を押し上げ、金型の鉄板に押し付けるところです。

    年季の入った機械です。

     

    湿度が高い日だった為か、

    キレイに革がピンとしました。

    また、型押しも上手くいきました。

     

    自然素材を加工する際、気温や湿度を考慮するのは基本です。

     

    最近はヌメで、立体成型、絞り、カービング、ネーム入れ等される方、多いです。

    クラフターの方はその辺りの天候も、考慮して良いものをお作りになられています。

     

    古い機械ですが、こんなアイロンもありますので、

    革生地をきれいにのばしたい方は、お手伝いできます!

    只、機械は温度を高くしてから使用しますので、

    もしご希望の際は、お問い合わせくださいね。

     

    それでは!

  • 革の脂はしなやかさ、艶を生みますが、厚みをどのくらい残すかは検討が必要です。

    みなさんこんにちは。

     

    こちらでは、革漉きや革加工に関して裏話的に私が日々行っている

    業務をお伝えしています。

    そんな中で、何か革で作る際にお役に立てることがあればと考えています。

     

    そこで、一つお伝えです。

     

    みなさんご存じかと思いますが・・・、

     

    革には、脂がある程度含まれています。

    触って柔らかく、しなやかで、底光りしている革は、

    オイルが含まれている、ということが想像できるかと思います。

    そうでない革、例えばヌメ革でも結構含まれていたりします。

     

    漉いた後、脂が機械に結構残ります。

     

    日々色々な革を漉きます。

    革を漉くと、その革の脂分が感じられるのが、

    漉き終わった後、バンドマシンのロール(生地を入れる金属ロール)部分を触る時です。

     

    もちろん機械を完全に止めてからですが。

     

    革を漉き終わると、革を巻きこんでいくロールに脂が残ります。

    ある程度の圧力をかけて革を巻きこむので、圧縮された革から

    オイルが染み出ます。

     

    ロールを触るとその感触(しっとり感、ヌルッと感)で、革に含まれている脂分の多い少ないが、

    分かります。

     

    特に、染料、芯染めの革は、染めた後、革にある程度オイルを戻すので、

    しなやかになっている場合がありますが、オイルが結構多い場合もあります。

    ただ、オイルを戻していかないと乾かした後に革がゴワつくので、

    そこは必要です。加工しずらくなってしまいますから。

     

    ただ、オイル量が多いような革は「柔らかいなあ」「弱いかも」など、触って分かります。

    使用用途にもよりますが、

    薄く漉くことは当社なら0.8ミリくらいまでなら、ベタ漉き致します。が、

    せっかくの革の張りコシがなくなるのは、もったいないなあ、と感じることもあります。

     

    難しいところです。

    オイルレザーって、とっても革生地として艶があっていいのですが、

    薄くし過ぎるとせっかくのその良さが、生かせないことがあると思います。

     

     

    作業後はロールを掃除します。

    脂が残ると、革の粉が付着して汚れになってしまいますので。

     

     

    革はそのままだと、乾いて、固くなっていきますが、

    手で触りながら使うと、

    手の油分が革製品に馴染じみます。

    撫でてあげると、革に栄養が与えられるからです。

     

    革を育てるって、大切に撫でてあげながら、

    生かして使ってあげるということです。

     

    ただ、栄養(油)を入れ過ぎ(塗り過ぎ)は、革を弱くします。

    そこは注意が必要です。

     

    面白いです。

    どうやって加工するか?

    どういう接し方で使うか?

     

    それによって、その後の姿がそのまま変わる。

    そして変化に時間がかかる。

    その変化や姿は、自分がやってきたこと、そのまま。

     

    革って、素直ですね。

     

    それでは!