2019年4月

  • 黄色い革。姫路レザー2.5tくらい。

     

      当社では、今までほぼ決まった規格の顔料にて染革してきました。

    イエローってあまり見ないかもしれませんが、保育園用のランドセルとして

    多く使用されます。

     

    そんな話を先日お客さんと話していたら「最近は黄色で男性から財布オーダーが結構ある」

    とのお話でした。理由をお伺いすると、何でも風水的なものがあるらしく、黄色がイイらしいとのことでした。

     

    確かに黄色はお金さんがお好きな色なのかもしれません。

     

    しかし、写真みたくザ・黄色というよりは、レモンイエローくらいがいいとのことでした。

    確かにそのあたりの色加減が使いやすそうですね。あとあまりツヤ、テカテカ感がない方が

    いい、というリクエストをお聞きしました。こと男性は。

     

    もうちょっと色々な方向性で、染革をしていこうかなと感じました・・・。

    特に床革を有効活用して、遊びというか、練習用というか、気楽に楽しく色んな色に

    チャレンジできるように色々塗ってみようかなー、とか。

     

    顔料って絵の具感覚でやれるし、床革なら実験OKだし。

     

    皆さんに紹介できるように色々遊んでみます。

     

    ツヤなし、ですね。

     

  • 革漉きの方向。

    晴れた日は、染めたり漉いたりするのに良い日です。

    色は入りやすく乾きが早い。

    革に刃が入りやすい。

     

    そういう日は仕事が進む日なので、ラッキーな一日になります。

    でも雨なら雨で他のことに注力しやすいので、どっちがとはいいませんが、

    やはりどちらもラッキーなのです。

     

    それはさておき、

     

    革をバンドナイフに入れる場合、生き物の後ろ部分から入れ

    頭が最後になるように入れていきます。

    後ろ部分の方が生地が広くしっかりしており、最初に比重がかかって

    革が引っ張られても伸びにくいからです。

    逆から入れると場合によっては、生地にシワが寄ってロールに巻き込まれ

    生地を傷めてしまいます。

     

    が、半裁まるごと漉きではなく、最近は腹から背に向かって30~50㎝幅に

    カットしてお持ち頂く場合もあります。クラフトに取り組みやすいサイズです。

    この場合・・・・、

    革をお持ち頂いた時の漉き具合にもよりますが、

    大体は、腹から背に向かって入れていくことが、多いです。

     

    革は鞣しの後、伸ばして生地をならしていきます。

    大体中心から四肢に向かって放射状に生地をならして(伸ばして)いきます。

    すると・・・、

    中心、すなわち背が若干薄く、腹が厚くなっています。

    革にもよりますので、一概にはいえませんが、

    厚くてしっかりな方を先にいれると刃がしっかりはいりやすく、滑りも少ないです。

     

    どちらが頭で、どちらが尾か、大体動物の姿を想像すれば分かります。

    革は生き物なので個体差があり、上記の法則が絶対ということはないです。

    が、背割りしてある半裁や、四肢の沿革をカットしてあるクロップなどを

    見つけたら、まず動物が生きていたときの姿や、鞣し伸ばしの工程を

    想像して革を見ると良いです。

    ここはハードな部分だとか、ここはソフトな部分だとか、

    手で触りながら感触をつかんでいくと、使用用途のイメージがつきます。

     

    多分大昔の、例えば縄文の方々なんかは、そうして革を

    選んで、切ったり伸ばしたりしたのかな。

     

    なんて、想像してしまいます。

     

    写真はネイビーに染めて、漉いた革です。

     

     

  • 革の検品。

    みなさんこんにちは。

    姫路のタンナーさんが作る革は、非常に繊細ですね!

    革が入荷すると一枚一枚生地を確認して、大きさ(デシ数)を記録して

    検品していきます。

    同時に、どの革を染めて、どの革をそのまま販売するか、など判断します。

    有り難いことに、最近はクラフトをされる個人の方も遊びに来てくれるので

    何か良い革を見て頂けないかと、いつも思うのですが。

    基本、業者さん相手で決まった革を扱ってきた当社には

    正直あまりバリエーションはないのです。

     

    革をベタ漉きしたり、裁断したり、染めたりはしますが。

     

    その代わり、いいヌメ革はありますよ!

     

    写真はその革でプレーンな財布を作って下さったお客様の作品です。

    色を染めていないものもいいですね!

    オイルが最初からある程度含まれている革は、

    そのオイルがにじみ出て経年変化していきますが、

    そうでない革も、財布など毎日手で触るようなものは、手で触って

    いるだけで色が変化していくものです。

    でも最初はこんな赤ちゃん肌みたいな革です。

    皮は革に生まれ変わって

    汚れたり、日焼けしたりしながら生きていくんですね。

    本当にプレーンだと汚れとか心配になりますが、

    そもそもそういうのを含めて自分の皮膚みたいにしていくのが

    革の使い方なのかなあ・・・。

     

    ただ、この革は色が出しやすいので、染料でもいいし

    当社が行う丘染めにも適しています。

    まあ、顔料吹付けは正直もったいなく感じる時もあるのですが、

    生地があまりよろしくないところに関してはそちらに使用しています。

    その他は、クラフトされる方にもお分けできたらと。

    私が思うに、特にカービングとかにいいんじゃないかな。

     

    検品するときは、

    生まれ変わった革(プレーンなヌメ革)が、どんな命になるか

    色々想像してしまうものです。

  • クロムレザー

    先日、端末用機器専用ケース作成の相談を頂き、使用出来そうな革を

    色々見つくろっていました。

     

    通常、クロム革の黒ボックススムースとかソフトとか、黒、が基本です。

     

    が、よく考えてみると別に黒じゃなくてもいいじゃない?

    まあ、業務用の場合、派手である必要はないし、コストはかからない方が良いでしょう。

    規格も揃っていることが前提なら、黒、という色は間違いないでしょう。

     

    ただ、昨今のランドセルが20~30のカラーバリエーションを用意するのを

    目の当りにすると、例え専用機器ケースを同じように作成するにしても、

    黒だけでは。

     

    とはいえ、業務用のものをいきなりコストかけて発色いいものにするのは必要性がない。

    なら、同じ価格のクロムなら茶色はどうよ?とか思った。まあまあ味わいもあるし。

     

    私の認識では、革は包むもの、という考え方です。

    いつもそこにあり、優しく守ってくれる存在。

    もう一枚の皮膚みたいな。

    動物の命を頂いて、体や道具を保護する素材なんだけど

    食べ物に近い認識というか。

     

    茶色ってキズやシワが目立つけど、日々使用する場合、意外に愛着湧くかも?

    黒の機器ケースが消耗品という認識にならないように願います。

    道具や体を守ってくれる革に感謝!