2019年11月
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タイコの活用に向けて革を洗うことから始めています。
みなさんこんにちは。
当社に遊びに来て頂いたお客様には、工場にある古いタイコ(大きいドラム洗濯機みたいなもの)
をご覧頂いた方もいらっしゃるかと思います。
昭和の初期からある設備で、革を洗って、革に残った不純物や脂を除去したり、
時には、逆に加脂をしたりするために使用していました。
ランドセルの染革が大量にあった頃は、下染めとして染料染革にも活用していました。
が、このところタイコさんにはお休み頂いておりました。
私としては、まだまだ動くこのタイコさんにお手伝いしてもらいたいので、まずは実験から始めています。
当社にある野性味のある革を洗ってスッキリさせ、加脂します。
除鉄剤、各種の酸、ツメ油などを準備して・・・・、
実はまず小さく、工場に設置してある洗濯機で実験しています。
染革もやっています。
硬い革を使いやすく出来ないか?という意図もあります。
洗濯機に投入して一定時間回すことで、しなやかさがある程度出ます。
もちろんクラフトされる方は革をジャブジャブ洗うことはないと思いますが、
洗濯機にゴルフボールと革と染料を一緒に投入して革を打ち付けて洗うと、
革は染まります。ただ、水質のPH操作は必要です。色の浸透、固着をさせる為です。
あと、排水は色が出ますので、家庭ではできません。
まずは、洗いを主にシュミレーションしています。
洗う際、酸や界面活性剤をどこまで減らせるか。
テンションをかけて干す。
やることはシンプルです。
とにかく元々の革の良さが失われないこと、薬品を最大限減らすこと、を主眼に置いてやっています。
あと、小ロットで、随時小回り良くやる方法を模索しています。
ピット漕(プール)で鞣された(繰り返し浸けされた)革は牛のリアルなパワーが残っている革です。
大好きな革ですが、実は人が加工する際それなりの手間、力が必要です。
作る人が作りやすい。製品にして、美しい。
使う人が自然の風合いを強く感じる。
そういう革。
結構、相反した要素ではありますが、そんなヌメ革を目指します。
ちょっと時間はかかるかもしれませんが、上手にできたらまたご紹介致します。
最近、牛肉生産や牛乳生産に関して、個人的に勉強しています。
若い牛の革はキレイだし同時に高価です。
が、色々生産者の事情もあります・・・。
私の少ない知識をここに書くのは控えさせて頂きますが、
成牛をありがたく活用するのはとても自然なことだと私は感じています。
人間の事情で命を頂くのは最大限避ける。
頂いた命は、最後は土に帰るようにキレイに使う。
そんなことをテーマにしてやっていきます。
それでは!
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薄暗いところでヌメ革の立体感を見る。
みなさんこんにちは。
これは私の個人的な見解ですが、薄暗い場所で、革に少しだけ光を当ててて見ると
その革の波打ち方や、血筋、シワ、がよく分かります。
裁断していく前に、革の繊維の流れやシワの方向、キズや血筋の位置を把握、
その後型入れして、どのパーツをどの辺りで裁断するか、大体位置決めします。
その際、革を広げて明るいところで見ると、細かい汚れ、キズ、シワの位置に
目が行きます。
どうしても、そこを避けて裁断するという思考に陥るのですが、
本当は、そういう部分も生かしつつ、革の味が出る裁断方法をイメージしたいものです。
革を広げた時すぐにそれがイメージできたらいいのですが、
時々分からなくなる時があります。
そいういう時、個人的にですが、少し暗い場所で離れて革と向き合ってみます。
あとこれは私だけでしょうが、黒の革も暗い場所で、
懐中電灯をつけて照らしてみたりします。
動物に対して、ケモノ、という言い方を私たちはしますが、
自然のパワーに畏怖を感じてそう言ってしまうのかもしれません。
夜の革はそれを教えてくれます。
ヌメ革の薄青い皮膚は、まだ魂がそこにありそうな気配すら感じます。
しっかり表面処理した革も美しいのですが、
個人的には皮らしい革に魅力を感じます。
当たり前ですが、皮は元々立体、肉体を包む組織だったということが分かります。
だから革は、新たに何かを包む素材にはうってつけです。
よって革を見る時、同時に製品のデザインも頭に入れて、パーツ位置を考えて決めます。
平面を断つ、じゃなくて、皮を上手に頂く為の瞑想の時間。
今晩も革を眺めてみました。
製品のパーツに生まれ変わるので、責任持って無駄なく革が生きる形にします。
それでは。
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姫路産ヌメ革で楽器ベルトを作りました。
みなさんこんにちは。
例年10~11月頃、マーチングバンド用の楽器ベルト、肩当てを製作します。
1枚目写真の形に裁断して、既定の厚さに漉き加工してメーカーさんにお渡しします。
2枚目写真の姫路地域タンナーさんから仕入れた、姫路レザーを使用。
生成りヌメで、革らしい表情を残しつつ白っぽく美しい生地。
ただ、このままだとキズが付きやすく、水が染みやすい為、表面にワックス処理をします。
表面にうっすら光沢が入り、ツルンとした手触りの部材を目指して加工。
ヌメ革って作った直後は本当に白いのですが、数か月でクリーム色~キャメル色に変化していきます。
その後色がどんどん深くなって、アメ色になり、つやつやした木材のような表情になっていきます。
ただ、ヌメ革ってどうしても汚れやキズは付きやすいものです。
最初かなり白いので尚更感じてしまうのですが、
その使用感が味になるのは、本革、ヌメ革ならではのものです。
色の変化は数か月でこんな感じになっていきます。
姫路産のヌメ革は、当社では2つのタンナーさんから分けて頂くのですが、
それぞれ違った仕上がりになっています。
同じ姫路産の革ですが、上の革のタンナーさんは、伸ばしがしっかりしています。
下のまだ白い生地の方のタンナーさんは、そこまで伸ばし過ぎず、革の表情を
残す仕上がりです。
生地は張りがちゃんとのこり、ベルト向きの強度です。
同じヌメ革でも、見たり触ったり、伸ばしたりすると、作るべきものが見えてくるから面白い。
革は、生きていた牛の力をちゃんと生かすように使っていきたいものです。
それでは!
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ランドセル生地、一枚一枚染めました。
みなさんこんにちは。
ランドセル職人さんの「早く材料を!」というお声がこの時期入ってきます。
当社はメーカーさんのオーダーに対応して生産加工していますが、大体この季節の出荷量は
予想できるきているので、天気のいいこの時期に考えられる革生地を先に作って
スタンバイします。
でも、不足した場合は新しく染めていきます。
写真は一色づつの染革になりましたが、
こう見ると紅葉みたいですね。
2枚目はチョコ色です。
チョコレート色に似ているのか、伝統的にこういう呼び方です。
最近のランドセル生地は、大ロット生地の場合、大抵銀面を若干削ってから、
そこに色を張り付けるようにして生地をしっかりコーティングしてあります。
(銀面は削らないと、色を張っても上手く接着しないし、生地のキズがダイレクトに出てしまいます)
そうすることで、均一で美しい生地になり、防水性も高く、堅牢な革生地が出来上がります。
銀面を削ることで軽量化も出来ているように思われます。
人工皮革よりは重いですが、私の子供の頃(30年前くらい)よりは、かなり軽量です。
実際メーカーさん表示では、人工皮革のものと比べても、200~300グラムくらいの差です。
当社のように小回り良くやっている加工所は、
最初に銀面に、手染めで染料を下塗り。
その後、スプレーガンで銀面に顔料をのせていきます。
そしてクリアラッカーで仕上げ~アイロン、すっきりした生地になります。
ですから、顔料仕上げではありますが、革の表情がある程度残った生地になります。
昔のランドセルの革感が出ています。
この生地は、職人さんが少数で製作しているランドセル工房へお届けするものです。
こだわりの方が多いので、常に厳しい目で評価されます。
皮を革に変化させるのはタンナーさん、それを使える素材に加工するのが当社。
タンナーさんはそこまでされている場合も多いのですが、細かいところ全部は
出来ない部分があるので、そこは私がお手伝いします!
で、最終的に作り手さんのところへ革は届き、製品がユーザーさんへ。
どこが欠けても成り立ちません。
それぞれ丁寧にやるから牛さんの大切な命が最後正しく活用されていくのです。
私は一個の繋ぎ目です。
だから、そういう仕事ができて良かったと思います。
特に、革を広げて染める前に牛のことを考えるとそう思います。
生きて動いていた時の形が、すごく良く見えるから・・・。
それでは!