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鞣すということ、鞣剤の種類について。

みなさんこんにちは。

 

皮が革になっていく過程の話の続きをします。

 

改めて、なぜこういう話を長々すんのか。

革、は生き物の皮が、ありえないくらいたくさんのつながりの後にここにあるっていう、

そいうことをみなさんと意識したいからです。革づくりの工程を知れば知るほど、革が

いかに長旅で出来ていて、人々の経験や知識のかたまりだってことか分かってきます。

本来腐敗していくものに新しい命を付与していくのは大変難しい作業ですし。

革って、カッコいいとかおしゃれとかかわいいとか以前に、生々しいってことを知って頂きたいからです。

 

さて、今日は「鞣す」について。

 

「鞣」=「革」+「柔」です。この文字のつくりを見ると、昔の人が革づくりにどういう認識を持って

いたかイメージできます。

①一旦命を失って硬くなってしまった「皮」、に柔軟性を持たせ、生きていた時のようなしなやかさを

再度付与する、という意味。

ですが、製革の定義は、あと二つあります。

②皮に耐熱性を持たせること

③微生物に対する抵抗性を持たせること

です。はじめ生だった皮に、化学的または物理的操作を行い、実用的性能を付与していくと

上記の③点が実現されます。化学的に説明するなら、皮の準備段階で残ったコラーゲン繊維を、

様々な鞣し剤を用いて不可逆的に(元に戻らないように)安定させることです。

 

私が個人的にいつも感心するのは、鞣しの方法=鞣剤によって

革はそれぞれ個性的なしなやかさを持つということです。

 

鞣剤には天然、有機、合成、無機の様々な物質を使います。

 

天然では植物タンニン鞣剤。

 

これは自然界の有機物質です。タンニンはしぶとも言われるのですが、

様々な植物(樹木)の樹皮の皮、幹、枝、根、果実、葉、に含まれています。大昔はこれらの樹木から

煮だした溶液に皮を浸けて革を作りました。タンニンってポリフェノールっていう呼び方もできます。

あのワインとかにはいってるヤツ。口に入れるとキュッと口の中が締まる感じがしませんか?

収斂性(しゅうれんせい)というのですが、ポリ(いっぱい手があるという意味)フェノール分子は、

タンパク質と結びつきやすい性質があります。なので、コラーゲンとしっかり手をぎゅっと結びます。

タンニンがしっかり皮に入り込んでいくことで、タンニン+タンパク質(コラーゲン)+タンニン+コラーゲン・・・

ということになっていきます。

 

非常に乱暴な説明になりますが、一応はこんなしくみです。

植物タンニンに関してはまた詳しく書きます。

 

鉱物(無機)系では、クロム鞣剤、クロムみょうばん、アルミニウム鞣剤、ジルコニウム鞣剤、チタン鞣剤があります。

有機系では、上述の植物タンニン、アルデヒド鞣剤、油脂鞣剤、あと、各種合成鞣剤。

 

ここでちょっと、合成鞣剤の話。

 

人類が発展するとともに、皮革製品の消費が増大しました。長らく主流だった天然植物タンニンの需要が

拡大しました。つまりは、たくさんの樹木と生産の為の労働力が必要になってしまった、ということです。

一方、時期としてこれは第一次世界大戦~第二次世界大戦の時代にあたりました。

軍は軍需物資としても革製品をたくさん使いました。革製品として、軍事用に靴や鞄、その他各種の備品

を生産するにあたり、たくさんの革が必要になります。

当然鞣剤もたくさん必要です。いままで通り木を切って作っていたのでは間に合いません。

ので、増産の為に合成鞣剤の開発研究が発展しこの時期ピークを迎えました。

更に戦後、皮革製品の高付加価値化やファッション性の付加の観点から革の感覚的な品質改良が

進みそれに適した鞣剤が開発されました。その後は環境負荷をできるだけなくすことが、求められ・・・。

 

と、合成鞣剤は進化していっています。

 

人間の勝手で色々な鞣し方をして化学的生産もして、・・・とか私は別に言いたいわけではありません。

100%天然が正しいかも分かりません。ただ、そういう歴史や事実の結びつきの結果が革になったという

ことをお伝えしたいだけです。で、人によってそれが好きな革だったりそうではなかったり、というだけで

何が正しいかは特にないと思います。でも、ちょっと知っていると革を無駄には使えない気になります。

 

皆さんがヌメ革、所謂タンニン革を購入される際、ちょっと知っておくといいのが、合成タンニンのことです。

 

上述の理由で、化学生成された合成タンニンも開発されました。これは天然植物タンニンとは違います。

化学式的には同じ種類と分類できます。が、化学的に作り出されたものです。

天然みたくタンニン以外の色々な物質は入っていません。

それが、いいとか悪いとか、ではなく元の成り立ちの違いで、出来上がる革に違いがある、ということです。

 

概ね天然植物タンニン革は、硬く締まっていて張りコシの強い革、という印象。

対して合成タンニン革は、上記よりは少し柔らかく、適度な張りコシ、という印象。

天然=ベジタンって言われることがありますが、そう唱って販売されている革は厚みを

贅沢に使って、ベルトとかしっかり鞄とかヘヴィーな使い方をするのがいいのかな、と個人的には考えます。

薄く漉いて使ってもいいのですが、ちょっともったいない気もします。でも、別に正解はありません。

合成タンニンの場合、タンニン鞣しだから1ミリくらいに漉いてもある程度の固さが残り、

小物なんか作ってもしっかりした形状を保ったパーツが作れます。どっちも可塑性には優れているので

カーヴィングや刻印には適しています。

 

話が長くなってきましたので、鞣剤の話、今日はこの辺りまでにします。

 

次回はクロム鞣しの方法について書きます。

 

それでは。