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ワインを使って染めてみました。

 みなさん明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願い致します。

 

かなり更新が開いてしまいました。

大変申し訳ありません。

私の怠慢です。

多少忙しくても、革のことで何かお伝えできることがありましたら今年もしっかり更新していきますね。

 

以前から、革を染料で染められないか、また合成染料ではない自然な風合いは出せないか、

というご相談が、時々ではありますが、あります。

 

そういった革を仕入れてみなさんに提供することも考えています。

 

が、製作する方や趣味でお作りになる方、また私的にあまり負担にならない方法を

考えると、ヌメクラスト革から製作者さん自身が欲しい色を染め出すのが

自然だとは思っていました。

 

本来そういう業務をランドセルメーカーさんとかにやってきたのが当社ですし。

 

年末に機会があって、ある方からワイン色に革を染められないかという相談がありました。

 

そういう染料を手に入れて調色しつつ染める時間もなく、少しの革だったので

まあいいや、リアルワインを使ったらどうなるかな?と考えてやってみました。

 

出来たのが、写真です。

 

ワインはアルコール分15パーセント程度あります。

革に与える影響はあるでしょう。

 

アルコールは水より革への浸透性が高いので、シミになりやすい。

きれいに浸けないと染めムラができます。

 

そもそもお酒で革が染まるのか?

いきなり濃い色から入れていくとムラにならないか?

薄く色を入れつつ、濃くしていくとキレイに色が入るのか?

染まったはいいが、油分が抜けて革が硬くならないか?

革は腐らないか?匂いは?

 

そいういったことを心配しましたが、深く考えずトライ。

1日目、午前、午後、

2日目、午前、午後と革を一旦ワインから出しつつ、日光にさらしつつ、重ね染めしてみました。

一昼夜、革は染液にて浸透させました。

 

染める前に少量の重層を使用して、洗濯機で革を洗いました。

吟面が出来るだけ傷まないように粒子の細かいものを選びました。

洗うと革はうっすら白くなります。

ごく少量の除鉄剤も使用して、色の発色を助けるか、実験してみました。

 

50~60デシ程だったので、染めるのは小さ目の浴槽。

 

ワインはペットボトル1.8リットルのもの4本。かなりお安いワインです。

ポリフェノール多めフルボディー、酸化防止剤なし。

ちょっともったいないですが、色素のみ欲しいので採用しました。

 

酸化してタンニンと反応→色が深くなるかな?と考えたのですが、

酸化防止剤なしが、関係するか正直分かりません。

 

水分がまだ入った革が乾く前の状態だと、黒まではいかないですが

赤ワイン特有の黒に近いワイン色でした。

 

革を絞ってから、日陰干し後、完全乾燥、その後、2日ほどで写真の色になりました。

写真の革には加脂を行いました。

 

心配していたほど革は硬くなりませんでしたが、

革にしっとり感スムース感を出すため、通常染革に使用している皮革用脂を、

革の硬さを確認しつつ、スプレーガンで数回浸透させて、しっかり乾燥。

 

革に、薄っすらですがワインの香りが残りました。

香りが定着し続けるのかは今後、時々サンプル革をクンクンしつつ確認してみます。

今は少し匂っていますね。

 

革はキズ、シミ多めの栃木レザーだったのですが、染めていくと

その問題はそれなりに改善されました。

 

今後どのように革が変化していくか観察は必要です。

 

ただ、ワインみたく色がだんだん深くなっていくのは分かりますので、

革とそれなりに相性がいい色だったのでは?と感じました。

 

 

正直、セオリー無視の試行錯誤の染め方す。あいまいなところが多いので、

あまり皆さんの参考にならないかもしれません。

が、今後も何かやりましたらお伝え致していきます・・・。

 

まあ、お客さんは一応ご納得されていたのでホッと一息でした。

去年はそんなで、無事締めくくり。

 

それでは、今年もよろしくお願いいたします!