2019年10月

  • ランドセル用の革は、クロムとヌメのいいとこどり。

     こんにちはみなさん。

    写真はランドセル用の革で、シルバー色のものです。

     

    ところで、ランドセルの革ですが、一旦クロム鞣しをして、

    その後クロムを抜いてから、タンニンで再鞣しをしている革です。

     

    クロム革の加工のしやすさに、タンニン革の張りコシを加え、

    ある程度強度を増しながら、色のコーティングや裁断に適した革が作られます。

    革を使いながら、この生地をお作りになったメーカーさんの凄さを感じます。

     

    本当に自分はタンナーさんメーカーさんの途中の繋ぎ目になれて幸福です。

     

    この革はお腹開きの革です。大きいので、一旦背中で粗断ちします。

    その後、プレス機などで裁断。

     

    背中の部分は固いですね・・・。

    プレスもこの辺りは多少ヘッドの位置を落とし気味にして、

    裁断します。

     

    裁断面がすっきりきれい、になるように、繊維のバリがでないように設定。

    強すぎると、金型が食い込みます。

     

    さっさと位置を決めてリズムよく作業します。

    調子に乗せたらとにかく集中。

     

    今日は天気が良さそうです。

     

    それでは!

  • 雨の日は革にアイロン・型押しがしやすい。

    こんにちはみなさん。

     

    季節の変わり目、雨の多い日が続きますね。

    雨の日は、革が湿気を含みます。

     

    そんな時はアイロンです。型押しです。

     

    ヌメ革は可塑性があります。湿気によって水分を含んだ革は素直に形を変えてくれます。

    また、しっかり金型の跡が入ります。

    通常、「アジをする」といって、革に水分をスプレーガンで吹き付けてから

    アイロン、型押しをします。

     

    アジはしましたが、今日は水吹きは少な目です。

     

    一枚目写真は革のシワがなくなるよう、アイロンに入れているところです。

    二枚目写真、鉄のロールが革生地の載った板を押し上げ、金型の鉄板に押し付けるところです。

    年季の入った機械です。

     

    湿度が高い日だった為か、

    キレイに革がピンとしました。

    また、型押しも上手くいきました。

     

    自然素材を加工する際、気温や湿度を考慮するのは基本です。

     

    最近はヌメで、立体成型、絞り、カービング、ネーム入れ等される方、多いです。

    クラフターの方はその辺りの天候も、考慮して良いものをお作りになられています。

     

    古い機械ですが、こんなアイロンもありますので、

    革生地をきれいにのばしたい方は、お手伝いできます!

    只、機械は温度を高くしてから使用しますので、

    もしご希望の際は、お問い合わせくださいね。

     

    それでは!

  • 革漉きの時のロール回転スピード。

    みなさんこんにちは。

     

    ベタ漉きで革を漉いて、「上手くいかない」というとき

    考えられるのが、

    ロールの回転スピードです。

     

    ロールというのは革生地を巻き込んでいく金属ロールのことです。

    この回転が速いと、ザクッと生地に刃が入るので、切れやすい。

    遅いと、切れにくい。

     

    ということになります。

    テーブル漉き機をお使いの方はご存じかと思います。

    また、手で漉いても、多分漉き刃を速く動かした方が、

    よく漉けるのではないのでしょうか?

    というか、キレがいいと思います。

     

    ただ、あまり回転スピードが速いと、漉き面(床面)に

    刃の流れる筋が入って、キレイに仕上がりません。

    回転が遅い方が、キレイには仕上がります。

    しかし、遅いと切れが悪い・・・。

     

    なかなか悩ましいところです。

     

    何回か試し漉きをして設定を調整していきます。

     

    革ごとにその時の調整数値を記録しているのですが、

    その調整が同じ革、似た革すべてにあてはまるかと言えばそうでもない。

     

    個体差、鞣し具合、天気、湿度・・・。

     

    コツコツ記録もしますが、

    経験やカンが育たないと時間がかかって仕方ありません。

     

    個人的なボヤキになってすみません。

     

    みなさんのリクエストが私を育ててくれます。

    ありがとうございます!

  • 革の脂はしなやかさ、艶を生みますが、厚みをどのくらい残すかは検討が必要です。

    みなさんこんにちは。

     

    こちらでは、革漉きや革加工に関して裏話的に私が日々行っている

    業務をお伝えしています。

    そんな中で、何か革で作る際にお役に立てることがあればと考えています。

     

    そこで、一つお伝えです。

     

    みなさんご存じかと思いますが・・・、

     

    革には、脂がある程度含まれています。

    触って柔らかく、しなやかで、底光りしている革は、

    オイルが含まれている、ということが想像できるかと思います。

    そうでない革、例えばヌメ革でも結構含まれていたりします。

     

    漉いた後、脂が機械に結構残ります。

     

    日々色々な革を漉きます。

    革を漉くと、その革の脂分が感じられるのが、

    漉き終わった後、バンドマシンのロール(生地を入れる金属ロール)部分を触る時です。

     

    もちろん機械を完全に止めてからですが。

     

    革を漉き終わると、革を巻きこんでいくロールに脂が残ります。

    ある程度の圧力をかけて革を巻きこむので、圧縮された革から

    オイルが染み出ます。

     

    ロールを触るとその感触(しっとり感、ヌルッと感)で、革に含まれている脂分の多い少ないが、

    分かります。

     

    特に、染料、芯染めの革は、染めた後、革にある程度オイルを戻すので、

    しなやかになっている場合がありますが、オイルが結構多い場合もあります。

    ただ、オイルを戻していかないと乾かした後に革がゴワつくので、

    そこは必要です。加工しずらくなってしまいますから。

     

    ただ、オイル量が多いような革は「柔らかいなあ」「弱いかも」など、触って分かります。

    使用用途にもよりますが、

    薄く漉くことは当社なら0.8ミリくらいまでなら、ベタ漉き致します。が、

    せっかくの革の張りコシがなくなるのは、もったいないなあ、と感じることもあります。

     

    難しいところです。

    オイルレザーって、とっても革生地として艶があっていいのですが、

    薄くし過ぎるとせっかくのその良さが、生かせないことがあると思います。

     

     

    作業後はロールを掃除します。

    脂が残ると、革の粉が付着して汚れになってしまいますので。

     

     

    革はそのままだと、乾いて、固くなっていきますが、

    手で触りながら使うと、

    手の油分が革製品に馴染じみます。

    撫でてあげると、革に栄養が与えられるからです。

     

    革を育てるって、大切に撫でてあげながら、

    生かして使ってあげるということです。

     

    ただ、栄養(油)を入れ過ぎ(塗り過ぎ)は、革を弱くします。

    そこは注意が必要です。

     

    面白いです。

    どうやって加工するか?

    どういう接し方で使うか?

     

    それによって、その後の姿がそのまま変わる。

    そして変化に時間がかかる。

    その変化や姿は、自分がやってきたこと、そのまま。

     

    革って、素直ですね。

     

    それでは!