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革は背中の裁断と腹の裁断で感触が違う。

みなさんこんにちは。

 

キレイな色ですね。

アッシュという色の革です。

ランドセル、女の子のカラーバリエーションで用意されている革です。

こういうランドセル背負っているコ、見かけますよね。

今日が晴れているから、という訳ではないですが、今日はこんな色の革と仕事をしています。

 

裁断は、常に革の背中部分からスタートします。

背割り半裁の場合はもちろんですが、

腹割りの革も、作るパーツが小さいなら一旦背中で粗断ちします。

ので、背中に直線ラインが入ります。

だから、背側から裁断していけば、生地をできるだけ無駄なく使用できます。

 

お腹側は、足がありますから、曲線がどうしても入ってきます。

背側は、首が入りますが、お腹割りの場合、縁の方はカットされています。

 

ヨーロッパレザーはコレです。

革生地の良い部分のみ使用していると言えます。

 

小さい(幼い、若い)牛の革を多く使っていますので、背中の、良い生地になる部分は切らず、

腹で割って、足、首のような、皮が立体形状になっている部分は、

使用しにくいのでカットされています。

 

北米産の半裁の革は、年齢がいった大きい牛です。

背中で左右に切らないと大きすぎます。

生地はそこまで美しいとは言えないかもしれません。

しかし、年齢の感じられる野性味が魅力です。

 

それぞれ、皮の頃、をイメージすると分かりやすいです。

 

生地を動かしつつクリッカーでプレス作業をしていくと、

徐々に金型が、革、抜き台に深く入っていくようになるのが分かります。

深く入るというか・・・、

 

バスッ、バスッ、→ザスッ、ザスッ、→ズスッ、ズスッ、

 

申し訳ありません。

金型が革に入る時の音の聞こえ方を表現してみました。ちょっと分かりにくいですね・・・。

 

革は背中が硬く、腹の方に向かって徐々に柔らかくなっていくので、

こんな感じの音になります。

だから、部位の移動につれて、クリッカーの設定を変える、型をヘッドのどの位置に

当てていくか、を変えていきます。作業が早くなるよう臨機応変行います。

 

革で何かお作りの方は、裁断する場合の刃物のキレ具合でご存じかもしれませんね。

カットレザーだと分かりにくいのですが、

革を切る時、曲げる時、硬さが体感として分かると、大きい生地を買う場合、

「ここの部位はこういうパーツで使って・・・、」

とお考えになると思います。

革を手で触ると、硬さ、張り、コシ、が感触で直に理解できます。

 

知識として、背中→硬い、お腹→柔らかい、ってのは大体ありますが、

体感として自分が感じると、加工する際「こうした方がいい、ここはこうしよう。」

という行動に直結します。

 

そこに、もはや知識はないのかもしれません。

単純に、素直に、そう感触が教えてくれるからです。

 

仕事していると日々それを体感します。

 

また、これは特にランドセル用の顔料コーティングの革に言えるのですが、

色によっても生地の硬さは違ってきます。

革の鞣し方は、表の生地の色に、相性がいい色になる鞣し方、になっているようです。

基本はタンニンとクロムの配合ですが、微妙に変化をつけているのか、

床面の色がそれぞれ違います。

 

ベジタン鞣しは硬い。

合成タンニン鞣し、混ビ鞣しは適度なハリ、コシ。

クロム鞣しは柔らかい。

 

また、顔料の配合や表面加工の方法で、生地の硬さは違います。

 

発色がはっきりしている場合、染料、顔料が革に多く含まれる可能性があり、硬め。

ただ、革の地の色が比較的白い場合、そんなに硬くない。

 

表面加工に関しては、

スムースな革は、程良いしなやかさ。

シボの革は、柔らかい。

型押しの革は、硬い。

そんな感じです。使われている方は既に体感されているでしょう。

 

そして、大切なのは革の厚み。

本当に微妙なんですが、色で生地の厚みが若干違っていたりします。

0.05ミリくらい厚くなっただけで、プレスした時革が切れなくなる場合があります。

 

革の硬さ、密度は、本当に多様な要素で成り立っています。

あと革の油分、乾き具合、天候、湿度なども考えると・・・。

 

AIでそれらをデータ化、コントロールできる時代ではあります。

 

が、深く考えることはないのですが、自分に素直になれば、

革のそんな要素を感覚で体感できまます。

大して経験も理解もない自分なのに・・・。

人間の、生き物の、ナチュラルセンサーの優秀さを時に感じる時です。

 

理屈に変換すると、分からなくなる時がある。

でも、誰にでも分かる、出来ることには凄く価値があるでしょう・・・。

経験という時間が手に入るから。

 

まあ!あんまりこだわらず、適当なユラギを楽しむ。

個人が、あえてブレのある革を遊ぶ。

そっちの方が、その人にしかない時間になるのだから、いいのかもしれませんね。

 

アッシュは、もっちりした感触の表面です。

革自体は結構柔らかいので、厚めコーティングを行い張りをプラスしている印象です。

生地が表面方向に引っ張られます。

生地が真っ直ぐになるよう平らに保管します。

が、あんまりやると表面が伸びてしまいます・・・。

 

大切なのはバランスをとること。

触ると分かるので、それに従います。

 

革に関しては、百聞は一触に如かず、でしょうか・・・。

 

それでは!