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革の銀面って、皮のどこの話なのか。皮の成分、構造の話。

みなさんこんにちは。

色々な革の手触りに癒されてますか?

 

私は、製品として革になる少し前のクラスト革(素上げのヌメ革)を扱っていますので、

製品化された革より自然の状態にちょっとだけ近い質感の革を日々触っています。

 

革の成分や組織構造をちょっとだけ理解しておくと、ヌメ革から何かを作る時

なぜそうするのか?ということが少し分かると思います。皮革を理解するには、

その原料となる原皮の構造がイメージできるかがすごく大切です。

 

①構造・・・動物の皮は、上皮層と真皮層から成ります。革になっていくのは真皮層なんですが、

皮の肉面側には、当然ですが、脂肪が多く含まれる皮下組織、動物が皮を動かす皮筋が付着して

います。私のところでは、戦前くらいまでは原皮からの鞣しを行っていたので、ちょっとだけ

話を聞いたことがあります。今は鞣しはやっていませんが。

皮革を製造する過程で、フレッシングという工程があります。その段階で、肉面から上記の付着物は

取り除きます。

 

では、上皮層は?ここは銀面ではありません。生物学、細胞学の話に入ってしまうので、あまり詳しい

用語は使いませんが、ザックリといえば毛、と角質です。角質っていうのは外側に押しやられた

古い細胞の塊です。で、これらは生物が生きている時は自然に剥離していきます。

表皮は、なめしの段階で石灰付けをして除去します。石灰=硫化ナトリウムの作用で、毛が抜けやすくなり、

また、上皮層が溶解。同時に脂肪が溶け出します。この状態で機械的に表面を削ったり脱毛したりします。

そうやって表皮を一皮剥いて現れるのが、

 

②真皮層です。・・・真皮層がほぼ革になります。この層の外側(表面)を乳頭層、内側を、網状層、と

いいます。皮は多くがコラーゲンで出来ていますが、内側、外側の各種タンパク不純物を除去すると、

より純化したコラーゲン繊維が残ります。これを使って「革」を作るというわけです。

 

③乳頭層と網状層・・・乳頭層にはコラーゲン繊維とエラスチン繊維という繊維が、非常に密に交錯して

います。この層が銀革・銀面になります。この層には弾性繊維が多く存在しています。対してその下層の網状層

の繊維は比較的太く密度も粗くなっています。この層が床革・床面になります。

 

④では、製品としての革は?・・・革は、化学的機械的に、なんらかの方法で残されたコラーゲン繊維

の集まりだと言えます。が、商品としての革は、残った繊維に鞣し剤、油脂、染料、仕上げ剤、を加えて

生地にされたものです。

純化させた繊維を鞣し剤で、腐らないようにする=細胞組織を安定化させる。油脂を加える=革を

しなやかにする。染料を加える=色を付けてキレイな生地を作る。仕上げ剤で革を守る=革をできる

だけ長く使える生地にする。

 

繊維からなる生地って、歴史的には、動物→植物→化学と進化してきているので、その一番原始的

なものが革、だと言えるのかもしれません。

 

大ざっぱな説明でしたが、皮の構造から革がどうやってできているかが、少しでもイメージできたら

いいなと思います。

ここまでの話は、多分色々な革を選んでいく際の直接の重要な情報にならないかもしれません。

実際の革ごとの製革の製造工程や製法までは、革そのものを見ても詳細はすぐに分からないので。

 

次回は、そうしてできた(特に)牛の革の部位による違いの話を書きますね。

革のどの部分を購入して使うかは、革を購入する際の重要なポイントになりますので。

 

写真は、姫路産のヌメクラスト革、生成り(素上げの革)です。

 

それでは!