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皮革顔料について。
みなさんこんにちは。
青い空、白い雲、好きですか?
自然界にあふれている花鳥風月、そんな移り変わる色をなんとかどこかに留めたい!そんな思いで
携帯カメラに風景を収めたりしませんか?わたしも写真を撮ったりするのですが、それを
革に定着できないかも考えます。
自然の色は常に動くので、だからこそ思ってしまうのでしょうか。でも色は革に定着させた瞬間から
変化し始めます。
ずっと同じはあり得ない。だから留めたい。そして留めたと思ったら、消えていく。
そもそもずっと同じはあり得ないのだとしたら、本当にその色は見えていたのか。
購入する顔料の説明で時々書いてあるものに、光の散乱係数というものがあります。
見える物質の粒子直径と、光の波長を数式で表してあります。光の散乱係数の大きさで
見える色は変化していきます。
空の色、雲の色が、刻々と変わるのはこのためです。水粒子の大きさが変化すると光散乱の仕方が
変わるからです。
係数が1の時は、粒子が大きく、白、1より小さいなら粒子が小さくて(赤や黄の光を吸収して、)青。
顔料は、基本的に微細な粒子で出来ています。。
同じ有機、無機、の物質からなる顔料だとしても、粒子の大きさから起こる光の散乱数=波長、で
見える色が全く違います。つまり、物質的に同じ化合式でも粒子の大きさで色は変わります。
ちょっと話が長くなりましたが、物質が削れたり、とれたり、他の何かとくっついたりすれば
目に見えない小さな変化でも、色、見え方は変わります。それが、移り変わる色、姿になります。
顔料は、水、油、溶剤に不溶な着色剤です。ちなみに染料は水溶性、油溶性、で溶剤に可溶です。
顔料の原料は微粒子粉末で、そのままでは革の表面と接着しないので、合成樹脂バインダーや
ラッカー等の造膜仕上げ剤に配合して革表面を着色します。
無機系は鉱物、金属等が、有機系は土などが、原料です。分類、名称は多種あるのでここでは割愛します。
顔料粒子の大きさは光学特性に変化をもたらし、同時にバインダー内での沈降速度にも変化があります。
粒子が大きいと沈降速度が速く、分散安定が得られないので、色むらの原因となります。また色を
掛け合わて調色する場合、色によって比重が違うと、分離沈殿が起こるので、どちらもスプレーガンで
の塗装時はしっかり混ぜて分散安定を確認する必要があります。
これは市販ペースト状の皮革顔料でも同じです。しっかり混ぜてから使用して下さい、と
明記があるはずです。
顔料は、粒子形状も考慮します。球形、板系、立方体系、紡錘系、などありますが、板系に
近いほど光反射が強くなり艶がでます。耐摩耗性では球形が勝ります。
生地の隠蔽率は光の屈折率が大きいと上がっていきます。ですから、板系になっていくと色がはっきり見えます。
また、粒子が不規則形状になっていくと乱反射が起こり、こちらも独特の風合いで隠蔽率が高まります。
発色より色変化の耐久性を考慮する場合は、顔料粒子は耐摩耗性の優れた球形が選択されます。
染料の場合、分子の動きをちゃんと理解しつつ、
顔料仕上げの場合は物理的な粒子の働きを理解しつつ、作業工程を組み立てます。
ただ、最終的にはお客さんのご希望イメージと一致するところが目標です。
決まった方法が色によってある訳ではありません。
このところ染料でお客様からリクエストがあって染めたりするのですが、
メーカーさんではなく個人の方の場合、色見本なく私のイメージで作成しているのですが、
もし「なんか期待と違う」「こうして欲しかった」などありましたら、どうか苦言を呈して頂けましたら
幸いです。
お話やメールでやりとりして「この方のキャメルはこうしよう。」という感じでやっておりますので、
自身の勉強の為、ご指摘頂けましたらと思っています。
スキル的にまだまだですが、皆さんのイメージを一緒に具現化するのが私の目標です。
今後ともよろしくお願い致します。
次回は、仕上げ、塗装の方法についてご紹介します。
それでは!