ブログ

blog

床革の使い方として、とにかく「作る」という行為を目的として。

 

こんにちは皆様。

 

写真は、わたくしが、床革で作成してみたブックカバーです。

お恥ずかしい出来ですが、床革をどうしても有効活用してみたくやってみました。

 

無謀にも、床革の染料染め。

 

当然ながら、どっちの面から染めていっても色が染みます。

にじみます。色が。

 

そりゃそうです。

床革って、むき出しの繊維質のシートなので、まあ、普通の布きれに色を入れているのと同じです。

 

が、面白いくらいににじむので、両面からトントン色を叩きまくっていきました。

あんまりやり過ぎて、かなり濃くなってしまいましたが。

上手で、センスの良い方なら、薄く爽やかな感じになるのでしょうか。

 

で、まあ最終的にトコノール(という革の毛羽立ちを抑えるための、糊みたいなもの)を塗って

ガラスでちょっと磨いて終わりにしました・・・。

 

どうして思い立ったのかというと、

床革は、染料で染めた場合、当然色が強くにじみますが、布ほどはにじみ過ぎず、

時間はかかりますが、

①両面から色を入れて様子を見て乾かす、ということを厚みのある革ならそこそこじっくりやれる。

②切ったり、縫ったりが吟面付きの革より、容易。

だから、です。ユックリ、ユルイ気分でやりました。

 

製品にするのは、クオリティー、品質保持、という観点から、向いていない素材です。

 

 

でも、自分が作った、自分使い(普段使い)の様なものなら?

 

また、かっこいいとか、上手く作るということが目的ではなく、

作ることで、心を落ち着ける。

作ることで、体(手や思考)の機能を改善、維持する。

ということを目指すなら、柔らかい素材としてどうだろう?

 

ということで、やってみました。

 

普段使い用の物を気楽に作る素材。

スケッチブックのような感覚で使える素材。

塗ったり、描いたり、切ったりが容易な素材。

麻みたいなイメージの素材、動物性ですが。

 

それを使って、心や体をリラックスさせる。

そういう目的で、クラフト素材として提供できないか、考えています。

 

もちろん吟革でも癒されます。その生地の滑らかさは一種の魔力さえ感じます。が、いい生地で、高価であればあるほど、作るときは緊張や気合いが入ってしまいます・・・。

私も職人40年の社長も、お客様が本気で良い製品を作るために当社に加工を託して下さった素材の場合は、真剣勝負のプレッシャーになり、血圧に影響します(本当に)。

 

が、床革は、「多少失敗してもいいや、変化を楽しもう」

というリラックスした気分で取り組めました。

 

まるで箸休めですね。

 

出来たものは人にお渡ししませんが、作っている時間は自分にとっては、なんかいい時間だなーと思いました。

 

自己満足かもしれませんが、

自分が食べるだけのごはんを無心にちょっとだけ作って、

只、少しおなかいっぱいになる、

みたいな感じ。

 

革を見たり触ったりしていると、なんかそういう

ニュートラルな気持ちになるのは、私だけでしょうか。

 

 

と、いうか、本当は仕事をする際そうやって力まない境地まで行くのが重要なのでしょうか。

 

ふと、まるで空気を吸うように仕事している社長の姿を見て、

自分はまだまだだな、と感じました・・・。

 

では!