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なめし、とは何か。

みなさんこんにちは。

 

皮をなめす。鞣す。革、柔らかい、と書きますね。

革、は皮ではありません。革新の「革」です。

生き物の皮に何らかの処理を行い、食肉等の副産物を有効利用しようとした、ものです。

 

鞣す。

革をお使いの方なら聞いた言葉かと思います。

革の成り立ちには諸説あります。

 

tan タンニン鞣し。

 

最初、人が皮をガシガシ噛んで柔らかくしていたという話があります。

tanという言葉の由来はそこにあります。

酵素の力で皮が軟化して革となったという説もあります。

 

その辺りの話は歴史的にかなり長い話になります。

ので、また書いていこうかと思いますが、

有史以前から狩猟の獲物または家畜からの副産物として皮が人類の生活に生かされていたことは

壁画、日本でしたら古墳からも明らかな歴史があります。

 

鞣す。

 

という言葉以前に、動物から剥がした原皮は水分を多く含み、腐敗し易く、

また乾燥すると硬くなるため、水洗いして、血液、汚物、脂肪を除いた後、柔らかくするために

油等の軟化剤をすりこんだり、物理的に揉んだり伸ばしたりして使用されていたということは

古代の遺跡調査から考察されています。

また、脱毛や染色目的でヘブライ人が油鞣しから植物タンニン鞣しを発見したと言われています。

油に付け込んだり植物の染液に皮を浸染させてみた、ということです。

 

今日の植物タンニン鞣しは、こちらを起源としているようです。

 

では、今日的に言うと鞣すとは?

簡単に言うと以下です。

 

動物の皮に様々な処理を行い、植物タンニン、クロム塩等の鞣し剤を浸透、細胞組織結合させて

皮の有用性を増す操作、を指します。

 

革になる前の皮は水分含有量が多く、また不要な各種物質

(色々に使用されるものがあります。結構捨てるものはないのです。また紹介します。)

を含みますので、このままでは腐敗し易い。これを乾燥しただけでは固くもろくなります。

 

が、鞣しを行った革は腐敗しにくく湿気をあたえても膨張せず、また乾燥しても大きく変化しません。

 

ここまでが、いわゆる鞣しと言われる工程になります。すごくザックリの説明ですが。

工程は準備~鞣し、仕上げに至るまでたくさんの段階を経ます。

 

組織構造を安定状態にしつつ、実用的な柔軟性、風合いを与えたものが「革」です。

 

まとめると、

 

革、は主にコラーゲンを残して不要な各種のタンパク質、脂肪を除去して鞣し剤を

皮の組織に浸透、結合させて、その後、各種の化学的処理、物理的処理を施して

染色、加脂、、表面仕上げ、を行ったもの、です。

 

どうでしょう?

皮が革になるまで、長い歴史と経験、現代ではタンナーさんの日々の研究、開発から

私たちのところにやってきているんです。

 

実に有り難いことです。

 

もし動物皮から革を作らないなら、それらは廃棄しなければならない。

 

もちろん動物を食べない、という選択肢もあるかと思います。

 

が、現状、たくさんの肉や乳製品を人が生活上利用するのであれば、せめて皮はやはり利用して

しかるべきもののはずです。

私はそう思います。

 

だから私は「革」を使わせて頂いております。

 

大切に使うことで、命に感謝するのが目的なのです。