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雨の日の染料皮革製品と顔料皮革製品について

みなさんこんにちは。

 

雨が続いています。

製革仕上げ作業について、書いていこうかと思っていたのですが、

それは次回にして、今回は別の話を。

 

革製品をお使いの方、雨が気になるところですね。

 

特に染料仕上げの革製品をお使いの方、雨に濡れてしまったら

色落ちが起こる場合があります。雨で濡れてしまったら、優しい布で擦らず撫でるように水滴を拭き取りましょう。

染料仕上げの場合、水分は早い段階で革に馴染んでいきます。大きい水滴に当たるとシミになったように

見えますが焦らず優しく拭き取れば大丈夫です。残った水分は繊維にすぐ馴染んでいき、革表面は乾いて

シミは消えます。強く擦ると色が動く、落ちる場合がありますので、あくまで優しくです。

優しく、撫でる、でいきましょう。

 

ちなみに、ヌメ革にキズがついた場合、少しだけ濡らした布で優しく磨くとキズは革表面に馴染んでいきます。

無垢材の木をやさしく磨くのと同じです。ご自身の手をキレイにして汗や水分が出来るだけない状態で

時々優しくナデナデしてあげると、保革の効果があります。手の脂が革に上手く馴染んで革が光ります。

当たり前ですが汚れた手はダメですよ。またあまりやりすぎも皮脂の汚れが移っていくのでほどほどに。

 

雨の時期は、ある程度防水性が高そうな、顔料仕上げ系の革製品をお使いになられるのをお勧め

します。ランドセルはそういう製品の代表でしょう。

ただ、顔料仕上げといっても完全防水ではないので、濡れたらサッと水を拭き取って、風通しのいい場所に

静置保管するのがベストです。

元々美しく表面コートして革を保護してあるので、雨に濡れてもすぐに水滴がシミになったりはしません。

長時間の土砂降り雨でないなら、濡れても表面光沢はほぼ変化しません。

 

仕上げ塗膜が薄い染料革は、素直に空気中の水分を吸収排出します。通気性が比較的良いとも言えます。

ただ、コーティングがあまりに薄い時やタンパク質系仕上げ剤の革の場合、水や汚れに影響を受けやすいです。

逆に塗膜厚めの顔料仕上げの革は、通気性に乏しく、もし水分が多めに浸透した場合は、水分が塗膜内部

に残りやすいです。が、革表面に当たる水分の影響を受けにくい(浸透しにくい)のでそこまで、神経質に

なる必要はないかと思います。

 

ただ、組織内部に水分が長時間残ると革のタンパク質に細菌が繁殖してカビ発生の原因

になりますので風通しの良い場所で、早め乾燥を行うのがベターです。

顔料仕上げ革だから多少濡れても大丈夫、と放置するとカビの発生原因になるのでご注意を!

これはもちろん染料仕上げ革でも同じです!通気性が多少良くても、顔料仕上げ革より防汚性は劣ります。

ちなみに、カビが生えても革の繊維強度は変化しません。ただ、汚れや匂いをリカバリーするのは

至難の業です。革は洗浄、色素保持、乾燥、形状回復が困難な素材であるからです。

 

革は水分吸収してからその形状を保ったまま乾燥した場合、形が残ります。革線維だけではありませんが、

特に天然繊維は水分を吸収して乾燥していくとき、水分がいなくなった空間を繊維が束になって寄り合い

埋めていきます。

全体組織としては収縮、硬化します。特に革は繊維構造が不規則複雑なのでその性質が顕著です。

一旦形が安定すると、革を使いつつ繊維がまたほぐれていくまで形状はそのままになります。

 

製品は積み上げたりせず、いつも使う形を保ったまま保管しましょう!

他の繊維系どの製品も同じですが、雑に保管すると型崩れします。

そして革は形が元に戻りにくいです。一旦ついた形のクセを戻すのは簡単ではありません。

 

革は一見頑丈そうに見えます。でも水分にはデリケートです。

 

性質としては、伸び破れ付き通しに対する対抗性、=機械的負荷に負けない、

また、耐熱、耐摩耗、対電気性があり、強いイメージです。

繊維構造が複雑で、吸湿、乾燥に優れていて、伸縮性も多少あり、耐久性が高いです。

 

が・・・、実はコラーゲン繊維の集合体です。

特に水に対しては、他の自然素材の繊維と同じくデリケートな素材です。

皮から革になった時点で、ある程度の疎水性は付与されますが、完全ではありません。

水分に影響を受けやすいタンパク質を多く含むので、湿気はもちろん、極端な乾燥によっても、

組織変容が発生するのは仕方ありません。

そのため水分出入りの影響を最小限に抑えるため、適度な表面保護と油分補給が必要になってくるのです。

 

 

水分、水って、なんか無垢で柔らかいイメージがあるけど、

形がどのようにでも変化するし、なんとでも結びつくし、分子レベルで奥の奥まで入っていくし、

空気にもなってしまうし・・・、

 

実は、なんか、最強です。

 

というより、そのものに性質はあまりなくて、触媒になって周りに影響を及ぼしているだけ。

 

革に、自分に、良いものであるように雨と付き合おうと思います。

それでは。