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半裁、大判革のベタ漉きをお考えの方へお伝えしたいこと。

こんにちは。

 

写真は、多脂ベンズ革の床革です。

 

半裁革を割漉きして皮革製品業者さんにお渡しするのは、当社のメイン業務でもあります。

半裁、大判の革をお預かりすることもありますが、

6~8mm位でタンナー様から当社に入った革を、ご希望厚に割漉き加工して出荷します。

主にヌメ革です。

 

割漉き、とは1センチ弱の厚みのある革を、大きく革を(断面から)割るようにスライスすることです。

 

大型でパワーのある重機であれば可能ですが、

実はこれ、何回かに分けてスライスすることが多いのです。

 

機器を調整しても、6.0ミリをいきなりピッタリ2.0ミリ等にするのは結構難しいので

1回目3.0ミリ弱くらいにして2回目でピタリを狙うという方法をとります。

 

また、出来るだけ生地全体を均一な厚さにしていくため、何回か漉く必要が出ます。

 

革、皮は自然の産物であるため、部位により厚さ、固さに変化があります。

一般に動物、特に哺乳類は、上半身の方が皮が固く、下半身の方が皮が柔らかいものです。

すいません、当社は基本爬虫類とか魚とかの革、皮を漉くことがないので、

その辺りの生物に関しては、感覚としてあまり分からないのですが・・・。

 

要は、固い部分はサックリと刃が入ること、またバンドナイフのロールに革が入る瞬間、圧がかかること、

柔らかい部分は刃が入りにくいこと、を考慮します。つまり・・・、

 

①固い部分から革を入れると、革生地に素直に刃が入る→固ければ比較的生地がヨレにくくキレイに刃が通る。

②革は肩が固く、尻が柔らかい。→上手く柔らかい下半身から入れれば、革を漉きすぎない。

③先に刃を通す部分は薄くなる。→後に入る部位は厚くなっていく。

 

という3原則を考慮して作業することになります。

 

革は原則、最初尻から機器に入れて漉いて、全体の厚みを見て、次逆方向から漉いて、厚みのムラを

整える方法を取ります。最終的に再度左右のゲージ調整を行い厚い部位に深く刃を入れる、

薄い部位は少し削る位になるように刃を入れる、ということになります。

 

また、漉きシロ(原厚)が多い方が、精度は出しやすいです。

 

あと、大切なのは、最初にロールに入る部位と後にロールから出る部位、の距離が

出るほど、厚さに差位が発生していくことです。

 

そこを計算して数回に分けて、割り、漉きします。(業界では漉き割り、割漉き、両方同意で言葉を使います)

 

随分長いウンチクになり申し訳ありません。

結局何をお伝えしたいか、・・・というと、

 

大きい革で、漉きシロがあまりなく、柔らかい革である場合、

精度が出しにくい、ということです。

 

また、当社機器のような重機の場合、固くて厚く大きい革のダイナミックなベタ漉きや、小さいパーツの大量一気漉きに向いている、という点です。

 

デカいブルドーザーみたいなもんですから、あんまり細かい優しい運転は、実は、ちょっと苦手。

 

もちろん、どんなリクエストも検討の上、対応はさせていただきます!が、一応その辺りご理解

頂いて、ご依頼の革をどうするか、どれにするか、検討して頂くと良いと思いますよ!

 

 

全体を完全に同じ厚みにするのは革の場合限界があります。他の素材との大きな違いです。

それがまた、革の楽しいところ!だと、私は考えていますが。

 

基本同じになりようがない、揺らぎ、ってやつ。

生地の顔、も含めて。

でも、それをどうコントロールしていくか。それとも、そのまま生かすか。

どうするか。

 

 

とにかく高い精度で同じ厚みが欲しい!という場合は・・・、

ある程度小ぶりに裁断して頂いていればいる程、精度は高くなります!

 

多くの革製品、量産品は、裁断後の漉き作業で、厚み精度を上げていますから・・・。

 

最近のご依頼で、A4、A3、くらいサイズもご依頼頂きます。

クラフトをされる方よりのご依頼にも、できるだけ対応していきたいのが、

当社、私の今後の方針ですので、ご相談はお待ちおります。

 

でも、結局、0.1m単位等で細かく厚み調整したクラフト材料があればいい気もしますが・・・、

個人的には魚の切り身みたいだなー、とか考えてしまいます。

 

すごく便利だとは思いますので、そういう単位で加工していき、

販売もしていきますね。

 

が、結局は私自身の日々の精進が大切です!

 

みなさんからリクエストを頂きつつ、いつも勉強させて頂いております。

本当にいつもありがとうございます!